Recent Search
    Create an account to bookmark works.
    Sign Up, Sign In

    373to24

    @373to24

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 10

    373to24

    ☆quiet follow

    物騒な南西
    3月にべったーにあげていた文章です
    こんなことしなくても寿命操作できるんじゃ……とかいう理性を捨てていきます

    止血「よーし。全員死んだぞ!」
     笑顔でウエスターが言った。サウラーは、呆れたように肩をすくめる。
    「ねえ、もう少し綺麗にやれないの。血、すごいよ」
    「しょうがないじゃないか。武器持ってたんだから。全く、どこから持ち出したのか……」
     この国では絶対的弱者である反乱軍も、集まればそれなりに知恵を持つ。
     (そもそも、メビウス様に逆らおうって思考した時点で、馬鹿なんだよなぁ……)
     サウラーは、もうすぐ身体もろとも抹消されるであろう国民データ達の死に顔を覗き込みながら、そう思った。
    「サウラー。何してるんだ?次の任務に行くぞ!」
     ぼたっと、サウラーの服に、ウエスターから、血が落ちる。
    「ちょっと。何、返り血じゃなかったのかい?どこから出てるんだ」
    「あ?口切ったかな」
     ウエスターの口から、とめどなく血が流れている。しかし、彼はそれを気にすることなく、舐めながら、言葉を繋ぐ。
    「次の任務はなー、えっと。南地区の23番地点の、あーこれは面倒だな」
     喋る度、口から血が流れている。
     (気にならないのか?)
    「ウエスター、喋らなくていい」
    「別に痛くないぞ」
     キョトンした顔でウエスターが言うが、サウラーは、イライラしながら言葉を返す。
    「痛いかはどうかは聞いてないけどさ、服汚れるよ。それで、そのまま君が歩くと、ラビリンス中が汚れるんだけど」
    「ああ……それは確かに。とはいえ、次の任務まで時間が無いんだが」
     サウラーは、はーと肩を落とす。
    「かがんで」
    「なんでだ?」
    「か・か・ん・で」
    「何怒ってるんだよ」
     サウラーも、一般の人間の中ではかなり高身長だが、ウエスターとは少し差がある。サウラーが、不服そうに、ウエスターの肩を、両手でぐぐっと下に抑え込もうとするので、ウエスターは仕方なく少し屈んだ。
    「あ」
    「あ?」
     サウラーが『こうしろ』と言わんばかりに、縦に口を開けるので、ウエスターも、反射で口を開ける。
     サウラーは、そのままウエスターの口内に舌を入れた。
     (うーん。……あ、ここだ)
     サウラーは、舌で口内に傷口を見つけると、しばらくそのまま動かない。ウエスターは、何が何だかよく分からなかったが、サウラーに逆らわない方が色々上手くいくと経験が語っているので、そのまま耐えようとした。ただ、少し屈んだ姿勢が厳しくて、小刻みに震えている。
     ついに、ウエスターが、サウラーの肩を持って、無理やり引き剥がす。
    「サウラー、息ができないんだが」
    「え、どうして?鼻ですればいいじゃないか」
    「う、うーん。あと、姿勢がきつい……」
    「このくらい、筋力で何とかしてよ。それとも、僕がずっとつま先立ちしろって?」
     そうしてる間にも、ウエスターの口からまた血が溢れる。
    「あーもうほら……まどろっこしいな」
     再びサウラーはウエスターに口付けて、止血を試みた。
     その背後で、先程死体となったものたちが、炭のように消えていく。管理データが修正されたのだろう。
    「……よし、止まった」
    「え、本当か!有難い」
    「だけど、服は洗濯してよ」
    「おう……スミマセン」
     ウエスターとサウラーは、次の任務に歩き出す。
    そこにあった死体と武器は、既に跡形もなくなっていた。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    😭❤❤❤💖💖💖💖💖💖💖💖❤❤💗💗💗💗💗💗👏👏😭☺
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    recommended works