ひとりじゃ眠れない 形あるものは、いつか壊れる。
生きとし生けるものは、必ずいつか死ぬ。
だから、命が生まれ続ける分、滅びの力は生まれ続けるのさ。
二つの力があって初めて、この世界のバランスは保たれているわけだ。
命は煩くてうざったい。その音は、意識していなくても耳に入ってくる!
いつも遠くから、花のそよぐ音が、鳥のさえずる声が、人間共が笑う声が、炎を通してすべて聞こえてくる。
その分、滅びの世界には、全く音がない。暗くて真っ黒だ。
何も聞こえなくて、何も見えない。だから、先に来ているはずのヤツを見つけることなんて、できないのさ。
俺は、両方の世界を知っている。
両方を何度も確かめているから。
「おい、どうしてこんなことをした」
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