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    373to24

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    373to24

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    滅びたいモエカレ
    ダクフォと滅びの力に対する捏造設定をふくみます。二人の本編以前の接点を頑張って考えたらこうなっちゃった。
    モエルンバ視点ですが、彼の口調がわからない!!!

    ひとりじゃ眠れない 形あるものは、いつか壊れる。
     生きとし生けるものは、必ずいつか死ぬ。
     だから、命が生まれ続ける分、滅びの力は生まれ続けるのさ。
     二つの力があって初めて、この世界のバランスは保たれているわけだ。

     命は煩くてうざったい。その音は、意識していなくても耳に入ってくる!
     いつも遠くから、花のそよぐ音が、鳥のさえずる声が、人間共が笑う声が、炎を通してすべて聞こえてくる。
     その分、滅びの世界には、全く音がない。暗くて真っ黒だ。
     何も聞こえなくて、何も見えない。だから、先に来ているはずのヤツを見つけることなんて、できないのさ。

     俺は、両方の世界を知っている。
     両方を何度も確かめているから。

    「おい、どうしてこんなことをした」
     透き通る目が、俺を睨む。
    「ンハハハ! そんなに怖がらないでいいんだぜ、カレッチ」
    「怖がるわけないだろ」
    「さすがだなァ! わかるぜ! 俺たちみんな、どうせ……」
    「いつか滅びるからな」
     チリチリと火の粉が舞って、愛しいセニョールの姿が揺らいでいる。
    「だがそれとこれとは別だ。火を消せ」
     だけど彼の目は怒りに歪んでいる。いつも喧嘩する時の、愛しい瞳はどこにいってしまったんだろうな?
     毛先が焦げていくのも気にしないで、カレッチは俺の方だけを見ていた。
    「チャッチャチャ♪ まだまだパーティはこれからだぜ!」
    「俺に思い切り火をつけておいて、なにがパーティだ!」
    「カレッチ、俺と一緒に踊ろうぜ! もっと火をよく回してホットな気分に!」
    「いいかげんにしろ!」
     カレッチ‎が俺の腕を掴む。焼けちゃうけどいいのかァ?
    「おい、何がそんなに気に入らないんだァ? どうせいつか滅びるのなら、今滅びてもいいだろ?」
    「そういうことを言ってるんじゃない」
     すると、カレッチは顔をしかめ、何か言いづらそうに目線を外した。
     俺の腕を掴んだカレッチの手から、薄い煙が音を立て始める。ほらほら、早く言わねぇと焦げちまうぜ?
    「俺が先に滅びたら……」
     息を飲み込んで、カレッチは言った。
    「お前が一人で残るだろうが」
     はァ?
     俺はあざけるように、カレッチの顔の前でマラカスを振った。
    「アッハハ! 今更すぎるぜセニョール!」
     ずっと、いっつも、そうだったんだぜ。
     お前は覚えてないだろうけど。
     俺たちは繰り返してきたんだ。生みだされて、滅びるのを。
    「そうだ今更だ。もうこんなに燃えちゃったじゃねぇか! 俺が触ると余計に燃えうつる! お前が消せ!」
     熱くなってきたのか、あたふたしはじめたカレッチが愛おしくて、俺はつい吹き出してしまう。
    「はは、ふはは、カレッチは毎回ボニータ♪ 」
    「どういう意味だ!」
     俺たちは何度も出会った。
     最近だと、アクダイカーン様に生み出されて、そのあと、ゴーヤーンに復活させられたんだったか!ゴーヤーンは元気のいいベイビーだったな!ンハハ!
     それは入れ物と利用する奴の話だ。利用する奴がいなくなっても、滅びの力が無くなるわけじゃない。
     命が生まれている限り、滅びの力は生まれ続けてんだから、世界がバランスを保てなくなった時、それは必ず表に出てくる。
     そして利用する奴が望んだ時が、俺のショータイムだ。俺たちは何度でも生まれる。生まれてしまうのさ。
     滅びの力は命を嫌うから、俺たちは、その時代のウザ〜イ命たちと戦う。まぁ、俺たちが世界を埋めつくしたことは一度も無くて、結局俺たちが滅びるんだけどな!
     だが、カレッチは、ちょっと特別だ。「その」枯葉から生まれなけりゃ、同じ姿でも違うセニョールだ。俺と違って全部忘れられるんだからさ。妬けちゃうぜ。
    「おい、もう一度聞く。どうしてこんなことをした」
    「ン〜? あ、カレッチ汗すごいぜ。サウナ効果で痩せるかもな♪」
     カレッチが全部忘れても、俺たちの関係は変わらない。いつもカレッチはカレッチで、何回目のヤツとも軽口を叩いて。
    「はぐらかすな」
     そして、どのカレッチも、必ず俺より先に滅びる。いつだって、俺が後だ。
     この世界生き残るのは、いつだって強い方だ。
     俺の方が強い。俺を切り分ける形はない。ひとつの炎が消えても、どこかで炎は燃え上がっている。体の大きさを変えて、どこへだって行ける。
     カレッチは繊細で、脆くて弱いね。一つの形があるから、いつか壊れる。命と同じように、ちゃんと滅びる、そういうことだろ。
    「モエルンバ! 何とか言え」
     俺に顔を近づけたカレッチの、編んでいる綺麗な髪が焦げていくのが見える。
     ああ、脆くて弱いのを愛しいと思うなんて、俺も随分、命が好きな奴らに毒されてるぜ。
     どうせもうすぐいなくなるから、カレッチの疑問に答えてあげようか。
    「……カレッチがいつも勝手に、俺を置いていくのが癪に障る! 俺も滅びたら、いつもお前を探すが、あの世界では何も見えやしない。もう、面倒になった!」
    「は……?」
    「だから、俺の目の前でラストダンスを見せてくれ! 確実に一発で、今、ここでおやすみ! アディオス!」
     「この」枯葉を燃やしてしまえば、ゴーヤーンの時みたいにはならないだろ。あの時は、二度も別れるなんて、後味が悪すぎたからなァ。
     カレッチの片腕が焼け焦げて、ぼとりと土に落ちた。いつもの、無数の枯葉が散っていく姿とは随分違う。俺は思わず口角を上げた。
     ああ! 最高の気分だ。
     これからはもう、出会ってからすぐにこうしようか?
     言葉を交わしてしまう前に。いや、もっと早く、そう、あの目を見てしまう前に。
     きっと今は、俺を心から憎んで、つり上がっているんだろ?
     そう思って顔を上げると、透き通る宝石のような目が、俺を見ていた。
    「っ……」
     なんで、怒ってないんだよ。
     眉を吊り上げて、ちょっと不満そうに口をとがらせているけど、いつも軽口を叩く時と、同じ目だ。
    「で、お前はどうするんだ?」
     俺のつけた火に燃やされていると言うのに、カレッチはなんでもないように聞く。
    「え?」
    「お前はどうやって滅びるんだ」
    「そんなもの、放っておけば、またこの時代の伝説の戦士が滅ぼしにくるだろ……」
     そう言った俺は、次の瞬間、カレッチが片手で俺を抱き寄せた。
    「お、おい。燃えちまうぜ?」
    「お前のせいで、はなから燃えてるだろうが」
     カレッチが、まだ形がある片手で締め付ける背中が、熱くてしかたない。
     どうしたんだよ。聞きたかったが、いつも意識しなくても動いてくれる口が、動かなかった。その疑問に答えるように、カレッチが言った。
    「俺を燃やすのにお前を全部使って、燃え尽きろ。すべて灰になったら、さすがにお前も滅びるんだろ」
     俺は、息を飲んだ。
     その途端、うるさい命のざわめきが、花のそよぐ音が、鳥のさえずる声が、人間共が笑う声が、すべて聞こえなくなった。
     カレッチとくっついている所から漏れ出す煙の音だけが、脳に響いている。
    「……一緒に滅びてくれるってことか?」
    俺が聞くと、カレッチは乾いた声で笑った。
    「あ? 一緒に滅びる? ただの仕返しだ。……こんだけ燃やされりゃ、もうどうでもよくなるだろ」
    「ンハハ! カレッチは何よりも燃えやすいからな!」
    「しょうがねぇだろ! お前と相性が悪いだけだ。他には強いんだ!」
    「俺は海にだって入れるけどな! チャチャチャ!」
    「あ〜! チャチャって言うな、踊るな! うるせぇ! お前だって……ほら、空気がないと困るだろ!」
    「ン? だいたいどこにでもあるけど?」
    「だ〜! 話を広げるな! あ〜もう、くっそ」
     イライラしたような、しかし落ち着いた声でカレッチは言った。
    「俺と相性がこんなに悪いのはお前くらいだって言ってるんだ」
    「ハッ、よくそんな嘘をつけるなァ! いつも負けて先にいなくなる癖に」
     思わずそう言葉にしてしまうと、俺は急に胸が締め付けられて苦しくなった。
    「いつも置いてって悪かったな」
     俺は、カレッチの思わぬ言葉に声を呑む。
    「……覚えているのか?」
    「いや、わからんが、お前のことだけ。もう待つのはこりごりだってことは、覚えてる」
    「ン? 待ちくたびれていたのは俺のほうだ。カレッチがまた蘇るのを、いつも待ってたんだぜ」
     もうほとんど焼け落ちてしまったのに、カレッチからは変わらぬ声がする。
    「俺も、真っ暗で音もない世界で、いつもお前を待ってた。滅びてもいつも、よく眠れなかった」
     もう、俺も形を保てない。それなのに、胸の場所が熱くなっていくのを感じた。
    「覚えてるとは……思ってなかった。ン? いつも知らないフリしてたのかァ?」
    「そんな面倒なことするか。話してるとだんだん思い出すんだ」
    「なんでだ……?」
    「お前の熱い思いってやつのせいじゃないのか。本当、とことん迷惑なやつだ」
     ハッとせせら笑うカレッチの声につられて、俺も笑い声を漏らした。
     抱きしめ合っているのか、くっついてしまったのか、もう一つになってしまったのか、よくわからない。
     ただ、カレッチのことが大切だと思った。


    「今度はお互い、よく眠れるな」
    「また眠れなかったらどうする?」
    「その時は、俺と踊ろうぜ!」
     静かに、炎が消えた。
     まだ温度の残る黒い灰が、散らばっていた。
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