こだきバニー アテンションプリーズ!
説明はもう不要かもしれないが、これは例によって例のごとく、語り部を務めるわたし瞳島眉美が『神の視線』でお届けするエピソードである。
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川池湖滝嬢は混乱していた。
困惑していた、と言い換えてもいいだろう。
なぜなら、本日のお着替えとして用意されていた衣装が、湖滝ちゃんにとって初めて目にする類のものだったからだ。
早々に本筋から脱線するが、ここでお着替えについて解説しよう。
年上の婚約者――咲口長広氏の自室で、ホームパーティという名の、ふたりきりのお茶会が開かれるようになって久しい(わたしに言わせれば、それはホームパーティではなくルームパーティだ)。
当初は婚約者同士の親睦を深めるためのお茶会として始まったのだが、アフターヌーンティーを楽しむだけでなく、年度が改まってから先輩くんは、月に一度の割合で、湖滝ちゃんに『お着替え』と称した衣装を用意するようになった(お着替えなんて聞こえはいいが、わたしに言わせれば、要するにコスプレだ)。
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