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    tinu_kimetu

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    tinu_kimetu

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    『晴天に万雷鳴る』にて公開。

    我妻善逸には周知の秘密がある。中高一貫キメツ学園にはとても有名な生徒がいる。その有名さは学園内に留まらず様々な所にまで波及して、様々な捻じ曲がった噂が立つほどだ。

    容姿は目立つ金髪をしており、風紀委員会らしいがここら一帯のチンピラを締め倒した裏番。体育では何でも一位で、音楽の才能にも満ちており、芸術でも高い評価を得ている。勉強も出来て特に英語は海外に通用するレベルだとか。女性に優しく温厚的、たまに激情家になり男前な所もあって、全体的に社交的。その姿はまるで二重人格者。

    どこまでが本当で、どこまでが嘘か分からない。そんな有名な先輩がキメツ学園にはいる。


    宇随天元の語り

    前世ってみんな信じるか?
    俺様はド派手に信じる。
    何故なら俺は前世の記憶を保持しているからだ。

    つい最近までは自分のド派手な夢だと思っていたが美術教員になって、前世のお館様(現校長)と出会ってから、夢ではなく前世であると確信した。

    それから俺はキメツ学園の美術教員として新たなスタートを切ったのだ。ド派手にな!

    ここキメツ学園には前世の記憶保持者が集まりやすいらしく、職員室を覗くと元同僚である柱の面々が勢ぞろいしていた。さらに渡された名簿表には、どうやって調べたのか前世の有無が記載されており、安心した教職員生活を送れるよう気遣われてる。流石お館様だ。

    指で名簿表をなぞっていく。マルとバツで表された記憶の有無を確認していくとある一点で俺は思わず指を止めた。その欄に記載されてるのはマルでもバツでも無く「三角」しかも名前は「桑島善逸」ときた。これは面白い香りがする。そう思いながら俺は授業へと向かった。

    「なのにお前普通じゃん。地味でつまらねーの」

    授業後に善逸に、いっぱい前世臭わせ発言のウザ絡みしようと息巻いて行ったはいいものの、速攻で「何やってるんすか宇随さん」と返された。
    授業後の道具を善逸に片付けさせながらぶっきらぼうに言うと、善逸は「前世の記憶があって生まれつき金髪でもう十分派手でしょ」と反論される。

    「俺はてっきり前世の記憶が曖昧なのかと思ってたんだがな…前世の記憶が曖昧なら在らぬことを吹き込んでやろうと思ってたのに」

    「こっわ!何しようとしてんだよアンタ!」

    手を交差させて己の身を守るかのようなポーズを取る善逸を見ながら、やっぱりこいつは面白いと上機嫌になる。

    「にしても何でお前は三角なんだ?お館様のミスか?」

    名簿表をヒラヒラと手で遊ばせながら呟く。後で赤ペンで修正せねばと考えてると善逸が「ああそれは故意ですよ」などと言ってきた。

    「は?」

    「明日、また声をかけてください。今からでも証明出来なくないですがアイツ寝てると思うし起こすの面倒なんで、それに今日は俺の番なので」

    質問を投げようとしたがちょうど切り良く片付けが終わったようで「それじゃあ〜」と手を振って逃げられた。


    翌日。
    昨日の出来事は一体どういうつもりだと思いつつ、学校へ向かうと校門が騒がしかった。どうやら喧嘩しているようで人だかりが出来てる。

    「我妻!髪を黒く染めろ!!」

    冨岡の声だ。そう言えば昨日もそんなこと言って善逸を困らせていたなと思い出す。アイツ前世の記憶持っていて善逸が元から金髪なことを知ってるだろうに何言ってんだかと呆れつつ、善逸が泣き出す前に冨岡を止めようと人だかりの中心へと向かった。

    「…これは地毛です冨岡先生。校則で禁止されてるのは『髪の毛の染色』故に黒く染める事の方が校則違反ですよ。なるほど冨岡先生公認で髪は染め上げてもいいのですか。おい!てめーら!明日から『頭髪の染色』は自由だそうだ!お咎めなしだぞ!染めてこい!」

    そこには前髪をワックスで固めたのか上に上げた善逸がいた。昨日と全く雰囲気が違いオラついてる。首には勾玉とアクセサリーも付けており、昨日と違って着崩しもしていた。

    「んだあれは…」

    そう呟くと近くにいた女子生徒が教えてくれた。

    「さっきからあの押し問答なんです。ああ言えばこう言う状態」
    「先生方は知らないのかな?」
    「善逸くんはここらで有名な二重人格者なんですよ」

    空いた口が塞がらない。二重人格だと?そいつはまあド派手な事で。そうこうしてると善逸がこちらに睨み効かせてきた。

    「…あんたが宇随先生か」
    「知ってるのかと言えばいいのか、分かるのかと言えばいいのか…」

    いつも見慣れた困り眉が吊り上がり、あの汚い高音であるものの愛嬌のある声はドスが効いたように低い。別人格何だと自覚させられてしまう。

    「カスとは交換日記でやり取りしてんだよ。俺が表にいる間はアイツは寝てんだ。かと言って片方の人格が支配とかしきれない。
    お互い自由に入れ替わりが出来るし、詳細までは理解出来ないがなんとなく外の光景も分かる。下手な事すればお互いで止めるし、得意分野はお互い分け合う。
    一日の主人格は日替わりだから明日はカスだ。安心しろ」

    ケタケタと悪そうに笑うそいつを見て、お前そんな笑い方出来るのかと考える。簡単に聞いた感じではちゃんと細かいところまで独自のルールを決めて共有してるようなので、とりあえず良しとみなした。

    「…お前さんの事はなんて言えばいい?」

    そう聞くとそいつは少し考えてから静かに口を開いた。

    「桑島」

    「桑島〜よろしくな」

    ガシガシと前髪が上がった頭を撫でるとセットが崩れ、それを見て心底嫌そうに桑島は「やめろ」と舌打ちしながら言った。





    嘴平伊之助の語り

    今日すげーつえー子分にあった。

    俺は生まれた時から覚えてることがあった。

    初めの頃はとても不思議だったソレは、幼馴染のアオイと話してる間に当たり前のコトに昇華していて、大きくなったら当たり前に子分どもに会えると思っていた。

    小6の時、年上の奴らにアオイが絡まれていた。カツアゲってやつだ。あいつは俺のなのに手出しやがった。
    カッとなった俺様は守るために喧嘩した。だけどあいつら汚ねえことに仲間呼びやがって…

    まあ!?俺様なら!!そんな事されても!!ヨユーだがなっっっっ!!!!!ヨユーで勝てるけどな!!!!!!

    まあ、そんな所にあいつはやって来たんだ。

    「てめえらここら一帯…俺の縄張りって理解できてるか?」
    「勝手に健気で可愛い女の子口説いてんじゃないよ…」

    雰囲気がバラバラで歪。記憶にある子分より強くて脆くて矛盾している。鬼のような威厳を持ちつつ、雷様のような鋭さがあり、姿形は知ってるものなのに全く別の誰かがそこにいて「誰だてめえ」と言った俺は悪くない。

    足を使用したケンカのスタイルで俺のサポートもしつつ、敵を薙ぎ倒してく姿は覚えてる過去のあいつのようでワクワクし、敵を倒し尽くした後「俺と戦え紋一!」と言った俺は悪くない。

    悪くない筈だが、その後アオイに叩かれたのに対し未だに遺憾を唱える。

    久しぶりに会った子分曰く、自身は二重人格だそうだ。「(お前、前回もそんな感じだったろうが)」と思ったが、今回は言葉にしなかった。俺様エライ。

    詳しく聞くとどうやらちっせーの頃に事故ってそうなったんだと。
    服めくってちらっと見せてくれた服の下の古傷は確かにやべーもんだった。
    それを見せながら紋一は「昔だったら即死だぜ。今の医療ってすげーよな」と相変わらず自分のことに関して無頓着というか他人事のようなことを言った。

    現在では中高一貫キメツ学園に通っている中一のようだ。前世持ちが集まってるらしい。

    アオイがさらに縄張りというのを掘り下げて聞いてみると、小学校4年の頃に天才小学生として持ち上げられ、5年6年といった上の学年に目をつけられてリンチされそうになったと。
    その際に獪餓鬼(※獪岳)がブチギレて薙ぎ倒したらそいつらの兄弟まででしゃばって来ていつの間にか親分になってたそうだ。

    「子分のこいつが親分なら、俺は大親分だな!」と言ったら、頭撫でられた。ホワホワさせやがって。

    最近は音楽系で外国に行っていたそうで、その留守の間に調子乗っていた不良を〆て回ってるそうだ。よくわからねーけどスゲー。

    そこからというものちょくちょく会うことが増えて関係が続き、今ではどちらが学界(※獪岳)か県一(※善逸)かが分かるようになった。

    勉強も嫌だが分かりやすく教えてくれて、なんとかキメツ学園に入ることが出来た。


    で、今。屋上でアオイからもらった弁当を食ってると、先ほどまで思い出していたそいつが「噂を聞いてやってきました」が如く現れる。耳がいいからか…?

    「おう紋一」

    「伊之助…お前さ、俺と兄貴の違いが分かるようになったくせに、未だに名前覚えないのなんでなの?」

    自分が見事に当てられたのが嬉しいのか、笑顔でだけど…口調はぶっきらぼうに言うそいつに、俺は「知らん」と返した。




    竈門炭治郎の語り

    「善逸!!」

    屋上の涼しい風にあたりながら流し目でこちらを見てくる金髪の彼に、怒気を荒げながら話しかけると彼は淡々と「違います」と答えた。指先で首に巻かれた飾りをコツコツと軽く叩いて主張する。そこには勾玉があった。

    「そうだぞ権八郎。こいつは『がくぽ』だぜ」
    「誰がサムライ系ボーカロイドか」

    「あ?じゃあ『がくと』か?」
    「高級品当てるのが上手そうな芸能人でもないな」

    『がく』しか覚えていなさそうな伊之助に、冷ややかな目をしながら、そう答える獪岳さんに改めて「間違えてすみません。善逸のお兄さん!」と言うとすっごく嫌そうな顔をした。
    善逸に対し、獪岳さんを『善逸のお兄さん』と言うと嬉しそうにするもんで、いつものその勢いでやってしまった。獪岳さんは複雑な人格だ…と思いながら「獪岳さん…」と言い直し、本題に入る。

    「テレビ出るなら言ってくださいよ!録画出来なかったじゃないですか!!」

    そうこれが本題である。

    話は週末に遡る。いつも通りの休日に兄弟で交代で店番をしながら休憩を取っていた時のこと。俺が表で店番していた際にリビングから慌ててやってきた禰󠄀豆子に呼ばれた。その間は父に店番を任せて、リビングに行くとそこにはテレビの画面いっぱいに善逸の姿があった。

    番組のゲストとして参加していたようで、俺がやってきた丁度そのタイミングに、善逸の特集映像が流れ出した。

    小学生の頃に子どもを助け事故に遭い、リハビリをし、しばらく通院生活。その際に病院の人と仲良くなって悩みを聞いていた所、それを画期的に解決する方法を考えユニバーサルデザインとして販売。特許を取る所からスタートした善逸の武勇伝はかなりの数があり、ナレーションは10分にまとめる為に早口となってた。

    もちろん俺はそんなこと聞いていない。小学生の頃から善逸と友達である伊之助ならば知っていたかもしれないが、中学になってから会えた俺は時間が浅く、そこまで話すに至っていなかったのだ。休日明けたら善逸に問いたださなければ!と決意し、今に至る。

    事細かにそう成り行きを善…獪岳さんにお話しすると、どこか他人事のように呆けながら「どうでもよくね?」と言ったので固まってしまった。
    すると隣にいた伊之助が俺に耳打ちをしてきた。

    「あいつテレビ出るの一回二回の話じゃねえぞ」
    「え??」

    テレビなんか中々出ることが出来るものではないだろうというのが、俺のイメージにあったのだが、伊之助が言うにすでに数え切れないほど出てるそう。

    ただテレビが活動メインではないので学業を理由にセーブしているらしい。

    脳内によぎるのは昨日の善逸の武勇伝特集だった。最終的にナレーションが言い切れなかった武勇伝が箇条書きにまとめられてた画面を思い出す。

    凄まじい…

    「だが、やはり友が晴れ舞台に立ってるのであれば、その姿を可能な限り見届けたいじゃないか!」

    と言うと獪岳さんは「ん」と言い一つの手帳を渡してきた。『TV用』と書かれたスケジュール帳で中を見ると日本だけじゃなく外国にも出演していることが分かった。なるほど物理的に見れないわけだ。

    「俺がマネージャーで、画面に出る時はカスが担当している」

    その言葉にギョッとする。様々な大会に出てるのは知ってるが、そのスケジュールまで管理しきってることに驚異を感じた。なので思わず「マネージャーまでやってるんですか!?」と聞くと…

    「そうしないと様々な大会との折り合いが付けれない。参加予定の大会を知り尽くしてるのは当人だしな。テレビはカスの方が向いてる。気遣いが上手いからな。ある意味、昔っから世渡り上手ではあったし」

    そう言いながらパックの牛乳をズゾゾゾゾと音を立てて飲み切る獪岳さん。完璧に共存しあってる二人に思わず笑顔でフリーズしてしまったのはここだけの話だ。




    我妻善逸の語り

    昔、交通事故にあったらしい。

    俺はすっかり覚えていないのだが、どうやら公園から飛んでいったボールを拾いにいった子どもを助けたのだそう。

    俺はそれのせいで右手右足は骨折したし、右側にあった臓器がズタボロとなった。逆に助けたそいつは、ほとんど怪我は無かったようだ。

    俺の今世の両親はそんな俺の行動に対し、誇らしいと思う反面、なんでこんなと引き裂かれるような思いを受けた。この時のことは申し訳なく思ってる。

    緊急入院をし、昏睡状態。自力で回復は不可能と言われ、移植を必要としていた時にドナーとして獪岳が現れた。

    獪岳は今世に置いて、とても特殊な奇病にかかっており、寿命は残り僅かだったそう。
    それで生存願望が高い獪岳は、どんな形でも良いから生きていたいと願ったそうでドナー提供者になっていたそうだ。
    ここまで生き残りたい願望が強いとは…もはや病的な精神疾患では無いかと思う。

    獪岳はどうやらドナーになるにあたって色々調べていたそうで、とある記事を読んでこの手に出たそう。




    それは「ドナーを受けた人は、ドナー提供者の特徴を受け継ぐ」と言う都市伝説。




    そもそも現代医学が発展した今の時代でも、魂がどこに宿ってるのか把握されていない。
    魂には質量が存在し、それは21g。
    実在するものはどこの機関にあるのだろうか。

    それは脳か?否。
    脳に存在するのならば、脳死患者はどうなってんだ?医療機関から総ツッコミが入るだろう。
    ならば心臓か?それもおそらく否。
    心臓は確かに魂に直結しているだろうが、医学的に心臓は解剖されてる。そんな機関は見つかっていない。

    獪岳は「魂は全ての機関に巡回するように存在するのではないなか」と考えた。

    最たる例が呼吸法だ。アレは酸素も使用していたが、それだけでは説明しきれないエネルギーが発生していたように思える。
    身体の許容範囲をワザとオーバーさせ、ブレーキを壊し、人間の本来の力を出す…言わば「火事場の馬鹿力」とも言えるが、「痣」はその領域を超えていた。今思えば無惨の「鬼化」も魂を改造させるものだったのかも…と予測した。

    そして結果、「ドナー提供しよう(新しい身体に乗り換えよう)」となったのだそう。

    自分は前世を経験しているし、誰よりも生きることに固執してる自信がある!きっと魂の保持は大丈夫だろう!という精神でドナー提供(おそらく精神的に病んでたピークだろう)。

    結果、俺の身体に入ることとなった。




    獪岳はそこで大きな問題にぶち当たる。それが元の魂持ちである俺だ。これが普通の子ならば乗っ取れたろうが、相手は俺だ。

    当初の予定通りに上手く融合して主人格になるのも嫌すぎるし、追い出すにしても元の主なので無理。お互いに身体の主導権を握れても、完全に握ることは不可能で、お互いに主導権を奪い返せる。さらに乗っ取れても、結局は俺の身体と言うとんでも展開。

    そんなわけで最初の頃は大変だった。

    俺はと言うとそんな獪岳に引っ張られたのか、獪岳に会えた喜びと…だけどもう死んでしまってる絶望と…で情緒不安定になり、さらにその影響を獪岳も受けて気が滅入り、悪循環となってしまっていた。

    そこで獪岳は悪循環を断つためにもう共依存するしかないと開き直り、獪岳は決まり事を作った。

    1つ・お互いに日替わりで主導権を渡しあう
    2つ・苦手分野は分け合う
    3つ・暴走したらお互いで止める

    それは前世の自分がしたかったことで、それを獪岳の方から提案してくれたことが嬉しくて、俺は条件を承諾した。

    馴染むのには時間を要した。
    日々の中で生じる都合のため日替わり制が難しい時の細かい決め事や、食べ物の苦手なものの押し付け合いや、勝手な行動と暴走の線引きなどの、細々としたルールをゆっくり作り上げていった。

    病院を退院してから日常生活に戻ったが、それもまあ大変で、そんな状態でいきなり幼稚園に通えるわけもなく、しばらくは怪我の具合と精神安定を兼ねて病院への通院生活を余儀なくされた。
    入院中は自分のことでいっぱいだったが、通院生活中は人との交流に慣れるために、入院患者と親しくなっていった。そのうちお悩み相談なども受けて中々楽しかった。

    「でもどうにか悩み解決してあげたいんだよね〜」

    呟くように交換日記に書くと、獪岳も同じ気持ちだったのか次の日から動き出してくれた。その結果、俺のアイデアと獪岳の頭脳明晰っぷりで画期的なユニバーサルデザインが出来上がり、それの特許を取得。
    そのお金で今までの入院費・手術費・通院費を親に返した。

    これ以降、自信が湧いてきた俺たちは様々なことに挑戦していくことになる。


    俺には獪岳がいる。

    失敗しても善逸に押し付ければいい。


    何にでも挑戦するようになった俺たちは、様々な大会にも参加した。特に二重人格であることなど隠していないので、俺たちに会うと皆驚いた様子だった。
    そんなことをしていたからか、いつのまにか知らない所まで噂になり、尾鰭が付いて有名人と化していた。
    中学の頃には親はすっかり順応しきっており獪岳と善逸で呼び名を変えてくるし、獪岳の親の方からも二人いっぺんに甘やかされた。今では一週間ごとに両家に通うルーティンが出来上がっている。

    国語・英語・音楽・美術は俺の分野で、数学・理科・社会・体育は兄貴の分野で分け合うととても効率が良く、いつのまにか神童と持て囃された。
    さらに二重人格はすっかり周りに浸透していたようで、それが人気に火をつけカースト上位に。

    そして今に至る。

    「クリスマスでプレゼントが二つもらえるのと、誕生日が2回来るのと、お前の身体に入ってるが故にお前と面と向かって合わなくていいことが、ドナーやってよかったなって思ったこと」

    などと酷いことを言うが、まあまあ関係は良好だと思う。
    俺が顔面崩壊するほどにやけかけると止めてくれるし、獪岳が酷いことしかけた時は俺が止める。好物の取り合いをたまにやらかしたり、面白いことや楽しいことは共有する。一緒の景色を文字通り見ることが出来る。

    今、俺の望みが叶ってるのだ。
    これほど嬉しいことはない。
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