一夏の「お客様の中に楽器を弾ける方はいませんか!」
偶然通り過ぎた屋台の横で、ライブ運営とも見える格好をした女性が必死な顔をして呼びかけていた
「ギター弾けますっっ!」
隣を歩いていた水無瀬が、当然手を挙げてこう言った
「ちょっ…」
「ほほほ本当!?あなた弾けるの!?ヤバいこれは天啓が降りたわ…!」
「水無瀬…」
「えへへ〜それほどでも〜、あ、この子もベース弾けるんですよぉ〜」
頼んでもないのに私を紹介しだす水無瀬の腕を掴み、後ろを向いて落ち着かせた
「水無瀬っ…あの格好、絶対ライブの運営か何かだって…!」
「ん〜?そうだろうね〜」
「あたしたちに演奏させるつもりだよ…こ、こんな突然…しかも浴衣で…」
「?うん、そうだろうねぇ」
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