掌編小説(太刀二①)1.『花言葉なんて、貴方は知らないんでしょうね』
(※トリオン異常で身体に花が生えるようになった二宮さん)
「綺麗だな」
身体から生える花を見た太刀川が放った言葉に、二宮は唇を噛んだ。
何も知らないからそんな無責任なことが言えるのだ。己にとっては生き恥を晒しているも同然なのに。
知りたくはなかった。
今日開花したのはアネモネ。昨日咲いたブーゲンビリアはまだ身体に残っている。その前に芽生えて枯れた、マリーゴールド、ペゴニア、ひまわり、アケビ、薔薇、翁草…。
二宮の身体を養分にする多種多様な花々は、この男に対する感情で溢れていた。
2.『甘えたいんだったら、素直になって』
二宮と恋人になって初めて知ったのは、意外にも彼はスキンシップを好むということだ。
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