gorugon__☆quiet followDOODLE篝火 元は普通の猫で、とある女性に飼われていた。今から何千年も前の話であり、彼自身その事は誰にも話していない。彼女は、猫に惜しみない愛情を与えた。それは正真正銘の親愛であり、猫にもよく伝わっていた。愛情を返す能力は何も無かったが、猫も確かな安心感と愛情を持っていた。共に親によって生み捨てられてしまった兄弟も、彼女の力によって今は安全な場所で生活している。猫にとって、これ以上のことがあっただろうか?このまま普通に歳を取れば、彼女の膝の上で安らかに生涯を終えることができただろう。彼女と共に過ごして何年かしたある日、猫の兄弟が飼い主の目を盗んで会いに来た。「なあ、このままでは彼女は死んでしまうよ」と、突然耳を疑いたくなるようなことを伝えてきたのだ。彼女、とは勿論猫の飼い主の事。どうやら彼女の住む集落で疫病が流行りだしたらしい。当時の医学ではとても太刀打ちできないもので、人間達にも原因は分からない。しかし猫はその原因を知っていた。「妖怪だよ。たまにいるだろ?私達の中からも化け猫とかいう奴らが産まれることがある。それと似たようなヤツらがやってるのさ。何が目的かは知らないがな」用心しろよ、という言葉を残して兄弟は去っていった。この日常が壊れようとしているのは、嫌でもわかった。しかしたかだか小さな猫に何ができるというのだろうか、逃げようと伝える事もできない。ここから出て妖怪に直談判というのも、無茶な話だ。彼女に病魔の手が伸びないのを、ただ祈るしかできなかった。優しい手に撫でられて、不安げに喉を鳴らして。しかし、その時はやって来てしまった。猫を撫でる手は痩せ細っていき、段々と衰弱していった。猫は必死に寄り添うが、何もできない。妖怪に対する激しい憎悪と、彼女を失う恐怖が猫を支配する。その後、彼女は呆気なく息を引き取った。猫を置いて、苦しみながら。何日も彼女の遺体に寄り添う猫の前に、黒い影が現れた。その姿は歪で、この世のものとは思えない。そう、この影こそが全ての元凶で、彼女の命を奪った妖怪だ。影が彼女の遺体に手を伸ばした時、猫は怒りに支配された。「彼女に触れるんじゃねえ」とありったけの力で噛み付くが、勿論適うわけが無い。小さな身体は吹き飛ばされ、家具の角に頭部をぶつけた。その時、正面から角にぶつかってしまった為、猫の目は潰れてしまう。そのまま、猫は打ち所が悪かったのか、死んでしまった。地獄の底から沸いてきた炎のような怒り、激しいあの妖怪への憎悪。何もしてやれなかった彼女への悲哀。復讐を果たす為ならばどんな苦痛にも耐えて見せよう、例え輪廻転生の輪から外れることになろうとも、二度と彼女に会うことができなくても。自分に平穏を与えてくれた彼女へ、自分なりの最大の恩返しができるなら。全ての思いと条件が揃った時、猫は炎に身を包まれた。そして炎の中から現れたのは、炎を操る獅子のような獣だった。獣は妖怪を食い殺すと、荒れ狂う炎でそこら一帯を炎で包み込んだ。もう誰も、彼女の身体に触れないようにと。彼は彼女の遺体を妖怪から守りきったのだ。猫は、火車という妖怪となった。化け猫の一種で、本来ならば地獄と現世を行き来し亡者の案内をする。しかし、彼に地獄に行く力は無かった。「彼女と二度と会えなくてもいい」という想いと引き換えに、この力を手にしたのだから。そして、彼は死んでしまえば二度と転生できない。魂ごと消えてしまう為、来世などがないのだ。次死ねば存在ごと消える、と言っても過言ではない。これからどう生きようか、と考えていると、猫の目の前にあの彼女が現れた。これは幻覚なのか事実なのか定かでは無い、会えるはずない、絶対に無いのだ。「猫ちゃん、心配で来ちゃった。無茶するのね……」大きくなった体で彼女に駆け寄ると、相も変わらず優しく撫でてくれる。「…名前、考えてなかったわね。……貴方は……いつも篝火みたいに私の夜を照らしたわ。だから、貴方は」最後の言葉を伝えると、彼女の姿は消えてしまった。「俺の方こそ、君に照らされた。」と言葉を伝える前だった。そして現在守るべき者ができた彼は、人間と敵対する道を選んだ。その道は確かに茨の道で、彼も苦しみながら生きてきた。だが、後悔はしていない。あの夜同様、守るのならば戦うしかないのだ。大きな背中に、燃え盛る大剣。周りを照らす唯一無二の炎を、人々は「篝」と呼んだ。Tap to full screen .Repost is prohibited Let's send reactions! freqpopularsnackothersPayment processing Replies from the creator Follow creator you care about!☆quiet follow gorugon__DOODLE篝火元は普通の猫で、とある女性に飼われていた。今から何千年も前の話であり、彼自身その事は誰にも話していない。彼女は、猫に惜しみない愛情を与えた。それは正真正銘の親愛であり、猫にもよく伝わっていた。愛情を返す能力は何も無かったが、猫も確かな安心感と愛情を持っていた。共に親によって生み捨てられてしまった兄弟も、彼女の力によって今は安全な場所で生活している。猫にとって、これ以上のことがあっただろうか?このまま普通に歳を取れば、彼女の膝の上で安らかに生涯を終えることができただろう。彼女と共に過ごして何年かしたある日、猫の兄弟が飼い主の目を盗んで会いに来た。「なあ、このままでは彼女は死んでしまうよ」と、突然耳を疑いたくなるようなことを伝えてきたのだ。彼女、とは勿論猫の飼い主の事。どうやら彼女の住む集落で疫病が流行りだしたらしい。当時の医学ではとても太刀打ちできないもので、人間達にも原因は分からない。しかし猫はその原因を知っていた。「妖怪だよ。たまにいるだろ?私達の中からも化け猫とかいう奴らが産まれることがある。それと似たようなヤツらがやってるのさ。何が目的かは知らないがな」 1869 gorugon__DOODLE朝チュン〜!!!!!!!!!!!!!! 4 recommended works tsgasukiDOODLE過去絵のまとめです🚨女体化、年齢層差あり既刊サンプル→https://www.pixiv.net/artworks/118388065(完売しています)希望がおおければ再版しますので、再版希望ボタンを押してください(7/19-21の間の分を参考にします) 10 辺銀恵行DONEちょっとヤンデレチルライ。18↑?→yes 2 不埒気DOODLEジョルフー🐞🍓仰け反りフィニッシュ後 ⤴︎18? もちろん/違います md_DONEミラ様とエコーズのらくがきプレイしてないけどFEHのミラ様が宗教画っぽくて好きだなあ2枚目はジェシル・シルエフィ要素ありディーンさんもソニアさんも好きだから選ばなかった方アルム軍に来ればいいのに…また二者択一にハマってる(ロズロザとドズルきょうだい) 2 コズチDOODLEパラレルワールドな🍎🎸のアダ虐です!!私がやれるアダ虐の限界!最初の部分に注意点書いてあります 6008 名取ちみDONE🌻グス小話追加してます 7 ぴんこDONE20240719なかよす makimaki_moriDOODLEきらはる🐇💙(ペン入れするかも) イチトDOODLEVOID//🟨 pass//y 4