Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    LEON_OHKA3

    @LEON_OHKA3
    最近マッシュルにハマりました。🪐‪右が好き。

    ☆quiet follow Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 47

    LEON_OHKA3

    ☆quiet follow

    オタ←ラン←ドト
    ⚠️最終的にドトランになります

    オーターさんに思いを告げ、見事に撃沈した俺は、校内にある庭のお気に入りの木陰で1人遠くを見つめていた。
    あの人に恋愛感情なんて無い事は何となく分かっていたし、正直返事に期待はしていなかった。
    でもやっぱり実際断られると結構辛いんだなと思った。
    これだから恋というものは嫌いなんだ。
    もうすぐ午後の授業が始まる時間だが、どうにもやる気が起きない。
    重い身体を動かそうとした時だ、隣にどかりと座り込んで来たやつがいた。
    「なーにしょぼくれてんだスカシピアスくんよ」
    ドットだった。
    こいつには色々とオーターさんの事で相談にのってもらっていた。
    「授業始まんぞ」
    俺はドットの顔をチラリと見て、視線を落とした。
    「……ああ」
    返事はしたが、身体はまだ動きそうになかった。
    何も言わないドットに違和感を覚え、また横を見る。
    「なんだよ」
    「授業、始まるんだろ。」
    「てめぇが行かねぇなら、俺もサボる」
    何でそうなる。
    わけが分からなかったが、こいつがいかないって言うなら好都合だ。
    俺は頭をドットの肩に置いた。
    「……慰めろ」
    そういうとドットは、俺の頭を少し乱暴に撫でた。
    「ったく、素直じゃねーな」
    こいつに少し優しくされて、泣きそうになった。
    失恋とはこんなにも苦しく、悲しいものなのか。知りたくなかったな。
    「……っ」
    「泣きたい時は素直に泣いとけ。今は俺しかいねーからよ。」
    「…泣いて、ない」
    察しのいいこいつに腹が立ったが、今は言葉に甘える事にした。


    そんな事があったのが1週間前
    オーターさんの前でも、以前と変わらず接して居られるようになった。
    ムカつくが、ドットのおかげでまた前のような関係に戻れたと思う。
    あの日からドットは、俺に少し優しくなった。
    何故かは分からない。
    最初は気持ち悪くて鳥肌が立っていたが、無駄な言い争いをしなくて済むし、以前より部屋の居心地が良くなったのは事実だ。
    紅茶も淹れてくれるし、俺が1人で居たい時にはちゃんと静かにしてくれたり。
    相変わらずパジャマは着てくれなかったが。
    そんな時だ、俺はオーターさんに魔法局に呼び出された。
    「オーターさんに?珍しいな、お前だけ呼ばれんの」
    「ああ。」
    「行ってこいよ。仕事関係だろ?」
    「多分な」
    1人で行くのが少し怖かったが、俺は部屋を後にし魔法局へと向かった。


    「オーターさん。ランスだ。」
    「入っていい」
    俺はドアを開け、部屋へと足を踏み入れる。
    オーターさんは書類から俺へと視線を向ける。
    「っ、……なんの、用だ?」
    その目に見つめられ一瞬言葉に詰まった。
    「……」
    オーターさんはゆっくりと立ち上がり、俺の目の前まで歩いてきた。
    近い。
    俺は少し後退りするが、腕を引かれオーターさんに抱きしめられた。
    何が起こってるんだ。
    「あ、の……オーターさん?」
    俺はこの人から離れようと肩を押すが、離れてくれる様子は無い。
    「…お前が好きだ、ランス」
    唐突に告げられた言葉に俺は息が詰まる。
    あのオーターさんが、俺を。
    前に俺が思いを告げた時は断られたのに。何で今。
    「……え、と…」
    嬉しい。はずなのに、何故か心から喜べない自分に混乱した。
    俺が気持ちの整理をしていると、オーターさんの顔が俺に近付いてくる。
    「っん!」
    キスをされている。
    多分相当嬉しいはず。俺が前まで望んでいたことを今されているんだ。なのに何故、こんなに心が苦しいのだろうか。
    「ぁ、はぁ……っ」
    唇が離れ酸素を取り込む。
    なんなんだ、この気持ちは。
    「……ランス、お前」
    そっとオーターさんに頬を撫でられ離される。
    その手は濡れていた。
    「あ、れ…何で」
    俺は涙を流していた。
    嬉しいから、か。いや、違う。
    俺の頭の中にはドットの顔が浮かんでいた。
    なんであいつの顔なんて…
    罪悪感。
    そんなはず無い。と思っていたのに。
    「……すまなかった。嫌だったか。」
    嫌じゃない。だって俺はオーターさんのことが好き……なんだ、から。
    でも、何故か涙は止まらなくて、俺はオーターさんのシャツを掴む。
    「オーター、少しいいかい」
    ドアの向こうからオーターさんを呼ぶ声がする。
    俺はこの人から離れ、そのまま部屋を出た。
    「ランス!」
    オーターさんが俺を呼ぶが、無視して足を進めた。

    最悪だ。
    俺は足早に魔法局を出て寮へと向かう。
    やっとオーターさんと普通に接することが出来たというのに。
    俺は何をしているんだ。
    オーターさんの事が好きなんじゃ無かったのか。
    頭が混乱している。
    そうこう考えてるうちに部屋の前までたどり着いた。
    部屋にはドットが居るだろう。
    俺は入ることを躊躇っていた。
    すると急に目の前の扉が開かれ、ドットが顔を出す。
    「……何してんだ。おかえり」
    「ただいま……」
    俺は部屋に入り椅子に座った。
    「…」
    「泣いてた……だろ」
    俺は目を見開きドットを見た。
    こいつは凄い悲しい顔をしていた。
    「……違う。」
    「嘘だな」
    「な、ん………っうるさい」
    俺は返す言葉も無く俯いた。
    「オーターさんに何か言われたのか。」
    その名前にピクリと反応してしまう。
    ドットは静かに立ち上がり、紅茶を持ってきてくれた。
    「とりあえず飲んで落ち着け。」
    差し出された紅茶に映る自分の顔は、情けない顔をしていた。

    「んで、何言われたんだよ。怒られた…くらいじゃてめぇが泣く訳ねぇもんな」
    「泣いてない」
    「はいはい。俺に言えねぇなら別にいいけどよ」
    そう言ってこいつは紅茶を1口飲んだ。
    俺は少し躊躇いながらも、口を開く。
    「オーターさんに……好きだと言われた」
    一瞬こいつの顔が曇った気がしたが、いつもの顔に戻っている。
    「良かったじゃねぇか。実ったって事だろ?」
    「……そう、だな。」
    こいつの言う通り。俺の恋は無事に成功した。筈だった
    「嬉しくねぇのかよ」
    感情が顔にほぼ出ない俺の顔を見て、ドットはそういった。
    「分からない」
    「はぁ?」
    「好きだった筈なんだ。オーターさんの事」
    これは間違いなく事実だ。ずっと思いを寄せていた。こいつも分かってるはず、なのに
    「でも、何故か心から喜べなかった」
    「……」
    「何でなんだ。」
    俺はドットの顔を見てそう告げた。
    「いや、俺に言われても」
    何であの時ドットの顔が浮かんだのか。罪悪感が生まれたのか。
    「……お前の顔が、頭に…浮かんで」
    「えっ」
    「よく、俺も分からないんだ」
    「……ランス」
    ドットは前のめりになり俺の目を見た。
    「なんだ」
    「俺がてめぇを好きだと言ったら、どう思う」
    「はぁ?何を言って」
    「真面目に応えろよ」
    こいつの真剣な目に俺は言葉を詰まらせる。
    「っ、それ…は」
    何で、嬉しいと思ってしまっているんだ。
    「なぁ、ランス。」
    「俺は……何でこんな…」
    「お前、俺の事好きだろ」
    俺は目を見開いた。
    「は、…違う……ちが、う」
    「違うって顔してねーぞ」
    こいつの言ってる意味が理解出来ない。いや、理解したく無かった。
    「くっ、貴様は一体何がしたいんだ」
    「俺もランスが好きだ」
    「……は?」
    も、って……何を言ってる。何でこいつが俺の事を理解してるんだ。
    「オーターさんじゃなくて、俺を好きになった。そうだろ」
    ドキッとした。唇が震える。核心を突かれた気分だった。
    「俺が、貴様の事を……」
    嘘だ。だってこいつは、ただのルームメイトで、ムカつく友人で、いつも喧嘩ばかりしてるいけ好かない奴…
    じゃあ、この感情はなんだ。
    ほんとに俺はこいつの事が?
    「まぁ、俺も信じられなかったからな」
    ドットの顔が近付いてきた。
    なぜだか動くことが出来なくて、そのまま唇が塞がれる。
    「んっ!…っあ、や…めろ…んぅ」
    俺は今何を感じた?
    オーターさんにされた時とは違う。幸福感。
    まさかこいつに。本当にそうなのか。
    「ばーか。そんな物欲しそうな顔すんな。止めらんねぇぞ」
    「っ!してない!離れろ!」
    俺はドットの肩を強く叩いた。
    ゆっくりとドットが離れていく。心臓が煩く鳴り響く。
    「で、どうでしたか。俺のキスは」
    「……っ」
    俺は思わず顔を逸らした。
    「悪くなかった。だろ?」
    「っー!調子に、乗るな!グラビオル!!」
    「あでぇ!」

    数日後。無事にお付き合いが始まりました。

    END
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    💖💖💖💖💖💖💖💖💖💖💖💖🙏🙏🙏💘💘😭💕👏👏👏
    Let's send reactions!
    Replies from the creator