お八つ、パンケーキ「うぅん、疲れたぁ」
イオリは凝った身体を伸ばした。目指す目標のため、行きたい学校が決まったのは良いが、いざ受験勉強を始めるとなかなかに大変だった。
こんこん、とドアをノックする音がした。
「イオリ君お疲れ様」
「セツさん!」
お盆片手にやって来たのは、イオリよりも一回り大きな大学生だった。3ヶ月前からお願いしている家庭教師で、名前をセツといった。髪も肌も白い人で、はじめは外人の人かと思ったが、どうやらそういった体質らしく、日本人なのは間違いないらしい。
「今日の分もう終わったんだ、頑張ったね」
「はい!」
セツは褒めて伸ばす教育方針なようで、イオリが課題をおわらせると必ず褒めてくれる。そしてわかりやすく教えてくれるので、イオリの成績も勉強意欲も上がっていた。
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