恋の薬「そこの天使さん」
ルシファーの城を抜け出して地獄の街を散歩していると、いかにも怪しいですという風貌の老婆が手招きしている。
無視しても良かったが何故か気になってしまい話を聞いてしまった。
「なんだよ」
「あなた、恋をしていますね?」
「はぁ!?なんだよ急に!」
「ほほほ、恥ずかしがることではありませんよ。みんな誰しも通る道です。そんなあなたを応援したくてこんなものを用意しました」
突然セールス口調になった老婆にアダムは頭を抱えた。
「おい、私は金をそんなに持ってないぞ。押し売りならもっと金持ちにやりな」
「いえ、貴方にお渡ししたいのです。この、『恋の薬』を」
「恋の薬?」
「はい。この薬は相手の恋の感情を倍増させる薬。ただし、相手に恋の感情がなければ憎悪の感情が倍増する。そういう、掛けみたいな薬ですよ、あなたに差し上げます。恋する乙女よ」
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