【レジェアル】未定【セキショウ】◼️
夜の帳が降り、満天の星々と緩やかに笑う三日月が静かに浮かぶ静寂の中、散髪屋の仕事を終えたヒナツはギンガ団から借り受けている宿舎に戻ろうと人気のない道に出ようとして、不意に足を止めた。
「……ショウ?」
散髪屋の斜め向かいに一応の住まいを構える少女の背中が雑貨屋の角に消えていくのが見えた気がしたのだ。
一応、というのも、此処ヒスイの地を救った英雄でもあるかの少女は、所属であるギンガ団の調査隊随一の隊員として、日々急がしくしており、10日に一度か二度帰ってくるかこないかほど宿舎に帰ってこない。
紅蓮の湿地にてクイーンの世話役を担うヒナツも二足の草鞋で忙しく、比較的近い距離にいながらなかなか会わない日も多いが、今日は夕方に帰参してきた彼女を出迎えた。
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