天使の休日「それじゃあ、仕方がないから行ってくるけど……三時には帰れるはずだから、一緒にお茶をしようね」
「っす。準備しときますよ。行ってらっしゃい、おひいさん」
せっかくの休日だというのに、一人急ぎの仕事が入ってしまった日和を行ってらっしゃいのキスを交わして見送ったジュンは、片手で口元を覆い隠して赤く染った顔でウロウロと視線をさ迷わせる。
少し前まで最下層に埋もれていた幼子だったのに、まさかこんな風に日和の婚約者になって、上層で穏やかな日々を送っているなんて誰が想像しただろう。身に余る幸せに、どうにかなってしまいそうだった。
秘密がバレてしまったら、全ての罪と嘘を打ち明けてEdenから去らなければならないと思い込んでいた。
10005