好き嫌い好き好き 大きなため息が聞こえてキギロは足を止めた。地底魔城の奥深く、そこはガンガディアの部屋の前だった。見れば扉は少し開いている。その隙間から見ると、ガンガディアが難しい顔をしていた。
ガンガディアはハドラーからの信頼も厚く、任される仕事も多いのだろう。真面目な性格から、ストレスでも溜め込んでいるのかもしれない。
キギロは扉をノックしてから部屋へと入った。
「どうしたのさ、大きなため息なんてついて」
「キギロか。少し考え事をしていたんだ」
「またハドラー様に無理難題を押し付けられた?」
「いや、ごく個人的な悩み事だ」
そこでキギロはピンときた。ガンガディアの表情が、あまりにもわかりやすかったからだ。
「……もしかして、恋煩いだったりして?」
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