プロポーズ マトリフは口付けられた手を呆気に取られて見ていた。ガンガディアは恭しく膝をつき、マトリフの手の甲に口付けている。
「おまッ……なにやってんだ」
マトリフは焦ってる手を引くが、ガンガディアの力には敵わないので失敗に終わる。ガンガディアはマトリフの手から唇を離すと顔を上げた。
「あなたに愛を誓っている」
「だからなんで……おまっ、それ、プププ」
「プププ?」
「まさかプロポーズじゃねえだろうな?」
マトリフの声は裏返っていた。ガンガディアは魔王軍の幹部であり、マトリフにとっては敵だ。地底魔城の闘技場で戦っていた二人だが、先ほど勝敗が決まった。勝ったのはマトリフだ。するとガンガディアは負けを認めた上で、マトリフの前に跪き、手を取って口付けた。
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