Kiss「おかえり、アゼム。今帰ってきたところかい?」
大きな荷物を背負いながらカピトル議事堂に現れた友人を見つけるとその痩せ細い青年が優しい笑みを浮かべながら近寄ってきくるとおや、といぶかし気にのぞき込んできた。
「ただいま、ヒュトロダエウス。なんだいそんなに見て」
はらりと片方に寄せて三つあみを作ったラベンダー色の髪が首を傾げると揺れる。
白い仮面をしているがその端麗な顔にじっと見つめられると少しドキリとしてしまう。彼は男性ではあるが物腰が柔らかく声も穏やかな音色のせいかとても中性的に見える。
「またキミは色んな所に傷を作ってきたみたいだね」
そう言って額に巻かれた包帯と腕や手の甲にできた擦り傷を見て、仕方のない人だねと肩をすくめて笑った。
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