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    WA_SAB1

    DBH沼に生息するコナー推しの薬味。
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    WA_SAB1

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    正月要素10%の年越し話。ナイン視点。ナインは変異体ではないですが、近々変異します。

    #DBH
    #ハンコナ
    hankona.
    #コナハン
    konahan
    #RK900

    両片想いはナインも喰わぬ最近気付いた事がある。意外にもアンダーソン警部補はスキンシップが多い。主な対象は子供、動物。稀に同僚。但し、同僚に対しては過度なスキンシップは見られない。適度な距離感で接してくる。現に今朝も私に対し、
    「おはようナイン。今日もギャビンのお守りか。お前さんも大変だな。」
    と肩に手を置いた。ポンポンと軽く叩いた彼はコーヒー片手に自分のデスクへと戻っていった。きっと私は同僚にカテゴライズされているのだろう。先日は犯人逮捕に貢献した私の相棒ギャビンと珍しくグータッチをしていた。コリンズ刑事と肩を組んで談笑している場面に遭遇したこともある。その距離感はなかなかに絶妙で、相手の深い部分に踏み込むギリギリのラインが分かっているのだろう。引き際もあっさりしていて不快感を与えない。彼が優秀な刑事である且つ、同僚に好かれる理由の一つかもしれない。


    「ナイン!コナーは!?」
    大柄な人影が息を切らせ走ってくる。
    「スリープモードにて精密検査中です。犯人追跡中に共犯者と思しき者に発砲されました。犯人及び共犯者は取り押さえましたが、私を庇いコナーが負傷。生命維持に関わる部品の損傷はありません。ただ機体の外装ダメージが酷くBB残量が著しく低下していた為、応急処置を施した後CLへ搬送しました。シャットダウンは回避しています。全ては私のシュミレーションミスです。申し訳ございません。」
    報告にホッと胸を撫で下ろした警部補は此方を覗き込んできた。
    「そうか…ナイン、お前大丈夫か?」
    「お気遣いありがとうございます。私は兄さんより耐久性があるので問題ありません。」
    「あー…それもあるが、頭のヤツ真っ赤だぞ。」
    こめかみを指摘され咄嗟にLEDを掌で隠す。別に見られてはいけない物ではない筈なのに。自分の行動に戸惑っていると、肉付きの良い手が伸びてくる。頭に心地良い重みを感知した。
    「不安、心配、罪悪感。今お前が抱いている感情の名前だ。」
    「私は変異しないよう作られた改良型です。感情という概念はありません。」
    一瞬悲しげな目をした警部補が強めに頭を掻き混ぜる。
    「何事も100%なんて有り得ねぇんだ。お前さんが気に病むことじゃない。コナーは俺が見とくから少し休んでこい。」
    自分に休息は必要ないと言いかけたが、先程の悲しげな目が脳裏をよぎり頷くだけに留めた。お言葉に甘えBBの補給をさせて貰おう。補給後、DPDへ戻る前に一声掛けようと兄の所へ足を向けた。ガラス張りの調整室の前で立ち止まる。横たわった兄の手を握り締め、祈る様に俯く警部補は此方には気付いてない。スキャンしてみるとストレス値が跳ね上がっていた。
    「ずっと俺の側にいるとか散々口説いといてこのザマか。その気にさせといて今更無理とか許さねぇからな。早く戻ってこいコナー…」
    兄の猛攻を軽く受け流していた警部補が既に陥落していたとは。もうすぐ目覚める予定の兄はどのような反応をするのだろうか。相棒からの通信が入るまで二人を見守り続けた。ぼさぼさの頭で。


    12/31大晦日。
    深夜にも関わらず、街はカウントダウンイベントに参加する人で溢れている。DPDの大半は交通課に駆り出され、刑事課も例外なく警備にあたっていた。
    「兄さん、年が明けると何かあるのですか?皆浮足立っています。」
    「新年を迎えることは人間にとって特別なものなんだ。人種や宗教に関わらず全ての人が平等にこの瞬間を祝福する。それって凄いことだろう?」
    ウインクを飛ばしながら鼻高々に説明してくる兄。警部補と別行動を命じられ数十分前まで拗ねていたとは思えない。
    「そう言われると特別な感じがします。」
    「ハンクの受け売りだけどね。年越しはハンクと過ごすはずだったのに…いや、ナインと一緒が嫌って訳じゃないんだ!可愛い弟と一緒なのは嬉しい!でもやっぱりハンクがいないのは寂しいと言うか―――」
    よく分からないがモジモジしている兄を尻目に街頭モニターではカウントダウンが始まる。
    「「「3、2、1、Happy new year!」」」
    カウントが0になったと同時に花火が打ち上がり、歓声が湧き起こった。手を取り合ったり抱き合ったりと、それぞれが新年を祝い喜びを分かち合っている。これが年越し。悪くない。
    「コナーッ!」
    人を掻き分け現れた警部補が兄を抱き締めた。先程までマシンガントークをしていた兄は口を噤む。完全に目が泳いでいる。
    「コナー、今年も宜しく頼む。」
    「ほら、ナインも。」
    恐る恐る背中に回そうとしていた兄の手は虚しく空を掴んだ。
    「本年も宜しくお願いします。」
    警部補の希望に応えるべく腕を広げ力強くハグを返す。この間数秒。水面下では感覚機能を強制同期させようとする兄VSハッキングを全力で阻止する弟の攻防が繰り広げられていた。
    「俺の相棒に加齢臭が移ったらどうしてくれるんだ。」
    背後から聞き慣れた声がし、首元を掴まれ引き離された。同時にハッキングによる攻撃が中断される。
    「新年だからお前にもサービスしてやる。遠慮すんな。」
    「遠慮なんかしてねぇ!」
    初老と中年男性が路上で抱き合う絵面はあまり良いものとは言えない。二人の間に割り込み威嚇している兄が加わるともう地獄絵図だ。ギャビンがアンドロイドでなくてよかった。きっと悪質なウイルスを送り込まれ致命傷を負っていただろう。
    「何故此方に?」
    「あ?休憩して来いってよ。刑事課のましてやアンダーソン警部補殿を駆り出してるぐらいだからな。交通課の奴等が気ぃ遣ってんだよ。」
    刺々しい物言いの割にギャビンの機嫌はそんなに悪くないようだ。
    「お前達も休憩だ。さっさと他の奴のとこ行くぞ。挨拶は大事だからな。」
    「仰せのままに。警部補殿。」
    人混みを掻き分け突き進んで行く二人に続こうとすると通信が入る。発信元は隣だ。
    『ナイン、さっきはすまない。』
    『サイバーテロかと思いました。何故ハッキングを?』
    『ハンクが僕以外と…』
    『僕以外と?』
    言い渋る兄に先を促すと泣きそうな声色で絞り出す。スキャンとシュミレーションを駆使し誰にもぶち当たることなく颯爽と進んでいるアンドロイド達が通信でこんな話をしているなんて誰も思わないだろう。
    『ハンクが僕以外とハグするのが嫌だったんだ…これはきっと嫉妬。弟に嫉妬なんて情けない…』
    『それほどアンダーソン警部補のこと想っているのですね。』
    『感情を持つ事がこんなにも苦しいだなんて思わなかった…』
    切なげに目を伏せる兄を綺麗だと感じてしまった。変異するとこの様な表情も可能になるのか。ハッキングを仕掛けてきた時の無表情が嘘のようだ。兄は気付いていない。兄とハグした時のみ警部補の体温と脈拍数が上昇していたことに。頭にキスまで贈られているのに気付かないのは捜査官型アンドロイドとして如何なものか。誰がどう見ても二人の想いは100%一致するだろう。ふと以前警部補から学んだことを思い出す。
    ―――何事も100%なんて有り得ねぇんだ。
    『私には兄さんの様な複雑なソーシャルモジュールが搭載されている訳ではありません。ですが、96いや、97%の確率で好意を持たれています。』
    『残りの3%は!?』
    必死の形相で迫られ、鷲掴みにされた肩を激しく前後に揺らされる。警部補の教えを加味した結果がこれだ。成程、これがめんどくさいという感情。そっと通信を切った。
    「ナイン!?なんで何も言ってくれないんだ!?ナイーーンッ!!」



    アンダーソン警部補は意外にもスキンシップが多い。主な対象は子供、動物。稀に同僚。それと特別枠で私の兄コナー。

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