《小林大輔と云う人》時は大正、丑三つ時。
真っ黒な夢を見る。大切なんて陳腐な言葉で語れない、”相棒”が惨殺される夢。
「小林隊員、退魔局に来ないかい?」
いっそ、いっそのこと、鬼など殺して、消して、決してこの地を歩めなくしてやるのが、アイツへの手向けになるやもしれん。
「俺は。」
バシャン。冷水が顔にかかる。あぁ、そうか。
「剣を振るう理由は、何かを護るためだろう。死んだアイツに恥じぬ、あやびとであれ。小林大輔。」
自分の手には、この國を護る使命が乗っている。
人民を救うため、この力を使ってほしい。そう、彼奴なら願うだろう。
「ありがとう、お陰で目が覚めたよ。」
霜月二十日の晴天、本日もどこかで鬼は民を傷つける。先日、玉兎の村で鬼が暴れたと聞く。望まぬ形で、望みを叶えようと。
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