アメニティ なに飲む?と聞かれて、お構いなくと返す。遠慮するな。と言われて、じゃあ、水でいいです。と言うと酷く驚いた顔をしていた。
「水でいいのか?本当に?炭酸水もジュースとかもあるし、いろいろあるぞ」
「や、別にこだわりとかねーんで」
落ち着かない。普段座らない質のいいソファーはふわふわしているし、窓がでかすぎてどこかから丸見え何じゃないかと不安になるが、この階はと同じ建物は隣にはない。広がるのは昼の都会の町並みと、遠くの山々。
「じゃあ、コーヒーか紅茶か選べ」
「今から入れるんでしょ。時間もったいねーでしょ」
「気にするな。こういうところはそう言う時間を楽しむ場所だ。ちょっとこっち来い、伴」
坂ノ上さんはそう言って、ソファーに座った俺の腕をひいてミニバーに引っ張ってこさせる。
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