フロムゲーっぽいかもしれない十傑な勝デク魔術が魔法陣の力を上回った者の末路はどんな人種であれ悲惨だ。固有性質魔法に呑まれた魔人の方が幸せなのかもしれない。術として呼び出した精神体が、ドラゴンを魔として血に宿す人を乗っ取らんとした結果、理性も知性もあるか判らないワームとなるのだから。その惨たらしさを終わらせてやれるのが、竜人族の血によって正しくドラゴンへと肉体が変化する者というのは皮肉な話である。
けれど時々は羨ましく思う。
竜人族にとって竜葬は、唯一として契りを結んだ者の血肉と成り得るのだから。
｢だがクソデクに喰われるのもテメーがどこぞのモブに喰われるのも腹立つ｣
｢いや、僕は確かにかっちゃんのドラゴンだけど厳密には違うし、そもそも伝承通りなら───の死肉を食べれば身体を乗っ取られ、あれ？｣
｢それの魂が分割も復活もしねえよう色々やってたが、最近やっと上書きが上手くいっとんだ。問題ねえ｣
｢え、待ってそれ初耳なんだけどしゃなくて───って言えないのって｣
｢〝イズク〟、今のお前は疑問も質問も持って無いよな？｣
｢……うん、無いよ｣



【設定】
ダイナマイト：人やゴーレムを竜にする血を持つ種族出身。ワーム討伐を専門に依頼を受ける。デクの本名を知っている。
デク：赤い竜に変身する青少年。魔術が使えない代わりに複数の個性が使える。ワームの食葬を行う。真の姿はあるが、名と竜人族の血で戒められている。ダイナマイトの本名が｢か｣から始まることは知ってるので彼のことを“かっちゃん”と呼ぶ。
ワーム：人が魔術の失敗で成るモノ。元に戻す術は無い。基本的に不死なので、竜が食べて処分する。