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    森永ぴの

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    森永ぴの

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    2022/12/11東京
    2023/01/08大阪

    sgoプリクララリー企画の小説です

    杉の部屋で元カノとのプリクラを発見してしまう尾から始まるハピエンsgo💗

    杉尾プリクララリー企画小説 杉元と付き合いだして数ヶ月。尾形は今、杉元の家に来ていた。金曜日の夜。まだ付き合っていないころに、ふたりで観に行った映画の配信が開始されたので、また一緒に観ようと。
     適当に買ってきたつまみと酒をテーブルに広げ、肩を並べて床に座り映画を流す32型の液晶テレビを見つめた。
     一度観たはずだが、意外と内容は記憶に残っておらずこんなシーンあったか、と思う。
     映画館とは違い、微妙に集中できずに時々テレビの画面では無いところに目線が行ってしまう。ふと、テレビ台と隣り合わせになったカラーボックスの間に何か挟まっていることに気付いた。
     なんだ、あれは。アルバム? にしては厚さが薄っぺらい。ノート? なんであんな所に挟まってるんだ。歯の隙間に肉が挟まったときみたいに気になる。気になって仕方がない。今すぐ引っ張り出したい。
     映画も後半、残り30分程だろうが、尾形は妙にあの隙間に挟まったものが気になって上の空だった。エンドロールが始まると杉元が動き出した。
     トイレトイレ〜、と言いながら居間を出てトイレに駆け込んで行った。
     金を払って入った映画館じゃないのだから、我慢せずとも一時停止にしてさっさと行けばいいものを。
     尾形も続けて立ち上がると、先程から気になっていたものに近づいた。
     その隙間は尾形の手を入れるには狭すぎてブツには指がとどかない。テレビ台は動かすには重すぎて無理だ。カラーボックスに立てられていた雑誌を隙間に入れてブツを動かす。普段なら我関せず、と見て見ぬふりをするのに、何故か今はこの隙間に入り込んでいるものが気になって仕方ない。取り除いてスッキリしたい。杉元は大きい方だったのかトイレからはまだ戻らない。雑誌を巧みに使い、挟まっていたものを隙間から出した。
    「なんだ」
     それは手のひらに収まる文庫本くらいの大きさの、でも頁数は少ない薄っぺらいノート? 表紙はキャンパスノートのようなシンプルなものではなく可愛らしいクマが描かれキラキラが飛んでおり、まるで小学生の女児が持ちそうなファンシーな絵柄。
     ぱらりと中を開いた俺はその中にあったものに言葉を失った。
     そこには小さな四角いシールがびっしりと貼られていた。そのシールの中には人間が写っている。そう、写真がシールになったような。これは『プリクラ』とかいうやつか。
     俺は知らない人間がたくさん写っているシールが貼られたそれから目が離せず、舐めるように見た。 
     知らない人間の中によく知っているやつがひとりいる。そう、このノートの持ち主だ。 若い。シールの中の杉元はとても若い。高校生くらいだろうか。好いた男の若い頃は今と変わらず犬のような愛らしい笑顔を振りまいている。だが、隣にいるのは知らない女で……。若い杉元を見つけた時の胸の高鳴り、甘く締め付けられたような感覚は一瞬で、今は心の中に暗雲が立ち込めている。
     よく見るとハートマークのスタンプや落書きで「だいすき♡」と可愛い文字が書かれている。字の感じからすると女が書いたのか。
     やたら距離が近いもの、女が杉元の頬にキスしているものまで見てしまった。それをご丁寧にノートにコレクションしてあるのか。
     俺とはこんなことしたことはない。
     当たり前だ。二十代後半の男ふたりだぞ。こんなこと、するはずがない。頭ではわかっているのに、心では昔の女への嫉妬心でいっぱいになってしまう。
     そうだ、こいつは元々ノンケで、これが正しくあるべき本来の杉元なんだろう。
     ああ、やっぱり俺では……。
     うっかり隙間に挟まったこれを見つけてしまい、好奇心に勝てず中を見てしまった。そんなことしなければ、気付かずに済んだのに。
     ノートを開いたまま項垂れていると、
    「は〜、スッキリしたぁ⭐︎」
     大便を終わらせたであろう杉元が部屋へと戻ってきた。
    「あれ? そんなとこで何やって……えええええ、何やってんの⁉︎」
     杉元は俺の手の中にあるプリクラが貼られたノートの存在に気付いたようで声を上げた。
    「長えな、うんこ」
    「ちょっと、ちょっと。どっから出したの、これ」
    「……ここに、隙間に何かあって、気になって」
    「うわっ、やべー。懐かしい。俺若っ、……あ、ままま待って、これ見ちゃったの?」
    「……」 
    「あー」
     杉元から見ても明らかに俺は落ち込んでいるだろう。そうだ、なかなかにダメージがデカく、普通を装うことができない。この俺が。
    「尾形」
    「……」
    「多分、何か勘違いしてると思うんだけど、これは昔の思い出みたいなもんだからな! しかも、今の今までこのプリ帳の存在なんで微塵も覚えてなかったんだからな!」
     そう言われてみても、この歳になってまで一人暮らしの家に持ってくるくらいには大切にしていた物なのでは。プリクラに映る杉元は若くても杉元で、それはそれは可愛らしく愛らしい、誰にでもモテそうな眩しい笑顔でその四角の中にいる。
    「……」
    「けど、懐かしいー。うわー、やべー」
    「……やっぱり俺では」
    「え? 何て?」
    「思い出しちまっただろ」
    「は?」
    「……それ、元カノ」
    「……そうだけど、だから! うわ、なんかわかんないけど絶対よくないこと考えてるしめちゃくちゃ落ち込んでるだろ」
     プリ帳を手に、テレビの前で座り込む俺に杉元が腕を回してきた。今はそんなことされても身体が鉛になったように重くて動けない。
    「……だって、ヤッただろ」
     この元カノと。頭ではわかってるが、こんな仲良さげな写真を目の当たりにしたら、自分と比べてしまうだろ。杉元にとっては、こっちの方がごく当たり前のはずだ。こんなガタイのいい髭面の男なんて。そんなことはわかりきってきたのに、いつになく自虐的になってしまう。
    「はぁ、よくこんなシールの一枚や二枚見てそんなことまで……」
     ガシガシと頭を掻くような音が後ろからする。と、思ったらいきなり身体が床に押し付けられる形になる。杉元が俺を後ろから押し倒したのだ。
    「オイッ、なにするッ、ん」
     無理矢理唇を奪われ、ぬめぬめと舌まで入ってきやがる。
    「ンンン」
     上にのしかかっている杉元が重い。
    「はっ、また無駄なことでひとりうじうじしやがって」
     うじうじだと⁉︎ 誰が! 俺か……。
    「昔のことであーだこーだ勝手に妄想して勝手に落ち込んでんだろ。今はお前が好きでお前と付き合ってんだよ。もう、こんなのいいから」
     俺の手からプリ帳を奪うと放り投げた。
    「元カノとヤッたかってそりゃヤるだろ。男なんだし。今、俺の彼氏は、お前だよなぁ?
     じゃあ、ヤらせていただきますか」
     杉元は俺の服に手をかけた。
    「オイ、そんな気分じゃねぇッ」
    「あ、そうだ。じゃあ今度一緒にプリクラ撮ろっか」
    「は?」
     解決、解決〜。と俺の服を脱がしていく杉元。解決って何がだ。俺は今ヤるのもプリクラ撮るのも許可してねぇ。
     
     了
     
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