プロジェクトセカイ feat.ゾンビあらすじ:プロセカの世界に新種の病が発生してしまう。いわゆるゾンビ化だが、感染経路は音。ゾンビの歌や演奏を長時間聴くと自我を奪われてしまう。ゾンビ化した人間は歌いながら他者を襲うようになる。また、感染者には『伝染性・感染力』がある。
いつも通りセカイで練習して戻ってきたら学校の様子がおかしい。皆慌てている。まさかと思ってミクが指差した方向を見た瞬間、血の気が引いた。クラスメイトたちが次々とゾンビ化していっているのだ! なんとかしなきゃ……!
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「帰れないかも」
まふゆからのメッセージ。昼間から届くのは珍しい。偶然起きていた奏は何があったのか尋ねる。
『学校にいるんだけど、なんか変なことになってて……ごめん、今は詳しく話せない』
「わかった。気をつけて」
それだけ返信する。
するとすぐに既読がついたかと思うと、写真が何枚も送られてきた。
人の群れだ。たくさんの人が校内を走り回っている。その顔色は悪く、明らかに正常な人間ではないことが見て取れた。
そして何より恐ろしいことに、この中にまふゆがいるということだ。
ひとまず現状を確認しようとニュースサイトを開く。
そこに書かれていた記事を見て背筋が凍った。
『都内各地で謎の集団発狂事件発生!』
そんな見出しと共に、事件の発端であろう動画が貼り付けられていたからだ。
「え……?」
再生ボタンをクリックする手が震える。
『うあああああぁぁ!!』
画面いっぱいに広がる叫び声。思わず耳を覆うほどの音量だった。
そこには倒れている人影が見える。恐らくこれが今回の犠牲者だろう。
次に映し出されたのは倒れた身体の上に覆い被さるようにして歌う女性の姿だった。
『~♪』
とても楽しげに歌っているように見える。しかし彼女の手元を見ると包丁を持っていた。
女性は倒れる生徒に向かって包丁を振り下ろす。
何度も、何度も、何度も。
やがて彼女は満足げに笑うと立ち上がる。動かなくなったはずの犠牲者がぴくりと動いた。
映像はここまで。
震える手で通話ボタンを押す。ただの発信音でこれほど不安になった事が今まであるだろうか。
ただ祈る事しかできない。
どうか無事であってほしい―――そう願いながら。
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