無題ある天気の良い日にぼくの親友行秋は天衡山に行こうと言い出した。よく鍛錬でも通っているが……ダメだ。今日は日差しが強く、同行する行秋にどれほどの迷惑が……考えただけで恐ろしい。
それでもやっぱり断れず、連れてこられてしまった。アイスのストックは十二分、一応万全の対策はできているはずだ。
「重雲、今の気分はどう?」
「璃月港よりは涼しい気がするな。高い山は皆そうなんだろうか」
「元気そうだね。ならよかった」
ぼくの親友はいつも心配してくれる。気遣いができていいやつだ。
「行秋、ここに来た目的はなんだ?」
「ふむ……天気がよかったから眺めがいいだろうなと思って」
「いま一瞬考えただろ」
「ええと、本当は重雲を連れ出してどこかへ散歩しに行きたかったんだ」
1496