marushu_tw☆quiet followDONEちょっとイイ感じのオトナふたり(https://odaibako.net/gacha/3438)さんのお題で書いた左寂 たった数年で、言葉の持つ力は大きく変わった。より人を傷つける方向で使われるようになったそれを、この人だけは、回復(あい)を与えるためにも使っている。 ……だから。 「左馬刻くん」 ばら撒かれる慈愛(ことば)より、俺だけの笑顔が愛おしい。Tap to full screen .Repost is prohibited Let's send reactions! freqpopularsnackothersPayment processing Replies from the creator Follow creator you care about!☆quiet follow marushu_twDONE寂雷先生お誕生日おめでとうございます!TDD解散直後くらいのまだくっついてない左寂いのちのぬくもり病院内の正月飾りが、片付けられていく。 その様子を見ながら寂雷は、年を越せなかった患者の顔を思い出した。さいごまでありがとう、と弱った声帯で絞り出された声を。 (始まりがあれば、終わりがある) 分かっていても、精神を消耗することはある。特に、こんなに寒い日は。 半分開いた廊下の窓を閉めようとした寂雷は、夜空を見てふと、手を伸ばした。 「雪……」 粉雪が一粒、その手のひらに落ちる。血の通わない皮膚と、どちらが冷たかっただろうか。 (ああ、いけない) 沈む思考を断ち切るように、窓をピシャリと閉める。風の音が遠くなり、寂雷は自分に近づいてくる足音に気がついた。知っている音だ。 「お、いた。探したぜ、センセー」 「……左馬刻くん」 863 marushu_twDONEこんな感じの二人ください(https://odaibako.net/gacha/1536)さんのお題で書いた左寂伊弉冉一二三の朝は、案外早い。同居人と共に食べる朝食を用意し、草臥れたスーツを見送ってから洗濯を済ませる。軽い筋トレをこなした後携帯端末をチェックすると、贔屓客から届く沢山のメッセージの中に、行きつけにしている寿司屋の名前があった。手早く、しかし一人一人丁寧に返事をした後、寿司屋のメッセージを開く。 「おっ! これは先生も誘わないと!」 黄金の瞳が煌めき、爪先まで手入れされた指が端末の画面を何度かタップした。鳴ったコール音は三回、いつもより少し遅い。 「先生、おっはようございまーす! ちっと早すぎました?」 『おはよう、一二三くん。丁度いいモーニングコールだったよ』 「つーことは、今日休みっすよね! 昼ご飯決まってなければ、一緒にどうすか? いつもの寿司屋からいいノドグロが入ったって連絡がありまして!」 1037 marushu_twDONEなるべく直接的な表現を使わずにちょっとえっちな左寂小話を書いてみるチャレンジR-15くらいだと思うけど一応閲覧制限つけてます 今年の書き納め! 591 marushu_twDONETDD時代の左寂(1️⃣と🍬は買い出しとか行ってる)『背の高い男性は頭を撫でれば落ちる!』 主(乱数)のいない派手な事務所でキッチンを借り、珈琲を淹れながら左馬刻は、ふと、昨日妹が読んでいた雑誌に踊るフレーズを思い出した。 くだらねーと思いつつその言葉を覚えていたのは、それを見た時、人生で初めて出会った自分より背の高い男の顔が浮かんだからだ。そして今、目の前にその男がいる。 ソファーで長い足を持て余すように組んで、何やら難しそうな本を読んでいるその男とは、神宮寺寂雷。ひとつ結びにされた菫色の髪の毛が、背もたれに垂れて僅かに揺れている。 別に『落とす』気は無いが、穏やかな物腰ながら常に隙のないこの人の頭を撫でてやればどんなリアクションをするのだろうかと、昨日感じた子供のような好奇心がむずむず疼く。本に集中している今がチャンスだと、左馬刻は慣れない忍び足で後ろから近寄った。一房だけ跳ねた髪を避け、その頭頂部に手を翳した、その時。 921 marushu_twDONEマンスリー左寂お題企画(@319_1month)様のお題で書いた左寂です目覚めの一杯は、浅煎りの豆がいい。 拘りのコーヒーを揃いのマグカップに注ぎ、両手に携え寝室に入った左馬刻は、ベッドに腰掛け窓の方を見ている寂雷に、その片方を手渡した。 「ありがとう。……いい天気ですね」 「おー。どっか行くか? 釣りとか」 大きな窓の向こうには、雲一つない青空が広がっている。コーヒーを一口飲んだ寂雷は、既に高い位置まで昇っている太陽の光を遮るように、目の上に手を翳した。 「あまり晴れていると、釣りには向かないんだ。魚が仕掛けを見破ってしまうからね。……それに」 カップを持っていない寂雷の右手が、左馬刻の左手に重なる。寝起きの低い体温と、滑らかな陶磁器のような手触りが、無性に心地いい。 「こんな日に、のんびり家で過ごすのも、いいと思わないないかい?」 369 marushu_twDONEマンスリー左寂お題企画(@319_1month)様のお題で書いた左寂です「お花見に行きたいなあ」 朝食を食べている最中、寂雷が唐突にそんな言葉を溢す。あまりに唐突だったので、左馬刻は眉間の皺を深くして、はあ?と返すしか出来なかった。 「今年はまだ行けてなくてね」 「いや、それ以前に、もうすぐ五月だぞ?もう花見は無理だろ」 葉桜だって遅いだろ、と左馬刻が突っ込めば、そうかな、と呟いた寂雷の視線がすうと流れる。天気予報を見るために点けていたテレビ画面には、『ホッカイドウの桜はもうすぐ満開!』とのテロップと共に、薄ピンクの花が一面に映っていた。つまりは。 「……旅行に行きたいなら、そう言えよ」 「だから言ってるだろう、お花見に行きたいと」 (こーいう所あるよな、センセーは) それが嫌ではないのだから、全く感情というのは不思議なものだ。左馬刻は軽くため息をついて端末を手に取り、「次の休みは?」と聞いた。明後日から、と返した寂雷は、桜に負けない満面の笑みを浮かべている。 449 recommended works marushu_twDONE強い受けガチャ(https://odaibako.net/gacha/1260)さんのお題から発想を受けて書いた左寂寂雷の家には、様々な飴が入ったピンク色のバスケットがある。 物が少ない家の中で目を引くそれはもちろん家主の趣味ではなく、TDDで集まる際乱数が勝手に持ち込んだ物だ。飴は乱数と衢、時折寂雷と一郎が消費してはまた乱数が勝手に補充をしていたが、今、その中身を減らしているのは寂雷と、以前は手をつけなかった左馬刻だけだ。 TDD解散後も寂雷との付き合いは変わらず……むしろ関係が深くなった左馬刻は、寂雷の家に来るたびに一つ、飴を食べるようになった。 その日も左馬刻は時間が空いたから、と寂雷の家にふらりと立ち寄り「仕事中なので少し待っててもらえますか」と言われ、パソコンに向かう寂雷を眺めつつ適当な飴をバスケットから取って、袋も見ずに一つ、口に入れた。 818 marushu_twDONE強い受けガチャ(https://odaibako.net/gacha/1260)さんのお題で書いた左寂「センセー、朝メシできてっぞ」 寝室のドアを開けて呼びかけるも、布団にくるまった寂雷からの返事はない。 (無理させすぎたか……いや、先生も煽ってきたし) ドス、と少し荒めにベッドに腰掛けた瞬間、強い力で腕を引っ張られ、左馬刻の体がシーツに沈む。 「起きてたのかよ」 「もう少し……ダメ、かな」 いつもより掠れた低い声で囁く寂雷に、左馬刻は早々に白旗を上げてしまう。 「少しだけ、な」 そのまま2人揃って二度寝してしまい、冷めた朝食を温め直したのは1時間後の事だった。 234 marushu_twDONE強い受けガチャ(https://odaibako.net/gacha/1260)さんのお題で書いた左寂ピリリリリ……と鳴り響いた高い電子音で目が覚めた。俺より先に起き出した先生が電話を取る。何度となく聞いた、病院からの緊急コール。 ラップバトルが必要ない世界になっても、神宮寺寂雷の闘いは続いている。 「はい、はい……分かりました、すぐに」 先生は電話を切りあっという間に服を着て、申し訳無さそうな顔でこちらを振り向いた。 「すまない、左馬刻くん」 「いつもの事じゃねぇか。早く行ってやれよ」 「いつも……君の優しさに、甘えてしまっているね」 「帰ってくるだろ。それだけでいい」 先生の瞳に光が灯る。マイクを構えて向かい合ったあの時と同じ、闘志の光。 「ありがとう左馬刻くん。行ってきます」 「おう」 バタン、と寝室のドアが閉まる。俺はベッドを抜け出して、いつもの煙草に火をつけた。 407 marushu_twDONEいちゃいちゃちゅっちゅガチャ(https://odaibako.net/gacha/1317)さんのお題で書いた左寂ふと、瞼が軽くなるのを感じ、何かに引っ張られるように意識が覚醒する。 オレンジの小さな光を頼りにベッドサイドの時計を見ると、深夜2時の表示。 (中途半端な時間に起きてしまった) 隣で静かに眠る左馬刻くんを起こさぬよう慎重に、時計の隣のペットボトルを取った。生ぬるい水が乾いた喉と身体を潤してくれる。 何気なく視線を落とすと、身体のあちこちに赤い痕が散らばっているのが見えた。とはいえいつもの服で隠れる範囲ではあるし、何より意識を失う前まで体液に塗れていたと記憶しているが、それが綺麗に拭われている。 左馬刻くんの優しさに、胸の奥がじわりと暖かくなる。 (夜が明けなければ、いいのに) 自然と浮かんできた思いに、自分でも少し驚いた。 622 ねこのここねこDOODLE🐴🎋の和解ショット📸ハンドサイン〜 3 marushu_twDONEこんなカプが見たかった(https://odaibako.net/gacha/2010)さんのお題で書いた左寂目を開けると、視界いっぱいに広がる菫色。指を入れて梳くとさらりと逃げていくのが気持ちよく、何回か繰り返しているとんん、と掠れた声がした。 「くすぐったいよ……」 「なあ先生、髪、切らねえの?」 なんとはなしに問いかけると、先生がころりと体の向きを変えた。指の間の菫色が逃げていく。 「好きなくせに」 蒼い目がすっと細められ、思わず言葉に詰まる。 「……よく分かってんな」 「ふふ、まあね」 敵わねえな、という本心は飲み込み、軽いキスではぐらかした。 224 marushu_twDONEこんな感じの二人ください(https://odaibako.net/gacha/1536)さんのお題で書いた左寂布団から出るとひんやりとした空気が素肌を包み、寂雷は床に落ちているアロハシャツを拾った。半袖ではあるが上等な仕立てで着心地が良く、なかなか気に入っているのは小さな秘密だ。 シャツ一枚で向かったリビングはいつものコーヒーの匂いが漂っていて、寂雷は大きな窓に一番近いソファに腰掛ける。涼しいはずだ、普段とは違い、ヨコハマの街が雨雲に隠れてよく見えない。 無言で隣に座った左馬刻から手渡されたコーヒーは、白い湯気を立てていた。 (この前は、アイスコーヒーだったな) 一口啜ると優しい熱が腹まで落ちて身体を中から温めていく。次の季節を共に迎えることができる幸せに浸りながら、二人はただ静かに、降り続く雨を眺めていた。 304 marushu_twDONE2W1Hガチャ-あまあま恋愛編-(https://odaibako.net/gacha/617)さんのお題で書いた左寂…あー、別に、隠してるつもりは無かったんだがよ…まあ、確かに調子は悪いが、先生に心配されるほどでもねぇよ。 何つーか、微熱が続いてるみてぇなダルさとか息苦しさが時々あるだけで…いや、家だといつもと変わらねえから体温計では測ってねえな。 動悸?ああ、たまにあるな…どんな時にって、そうだな……。 目を逸らし、しばし考え込む左馬刻くんをゆっくり待つ。医者では治せない病気に罹ってしまったらしい彼の口からはどんな名前が出るだろうか。…私のあさましい期待を断ち切ってくれるなら、どんな名前だっていいのだけど。 「…そういえば、先生といるときが多いな」 こちらを見据えギラリと光る紅に思わず息を呑む。心臓が早鐘を打ち一気に体温が上がった。きっと拗らせると覚悟していたこの治せない病気にはどうやら、さらに病状を進める特効薬があったようだ。 365 marushu_twDONE男ふたりの色んなシーン(https://odaibako.net/gacha/1739)さんのお題で書いた左寂ガラリと窓を閉める音と、煙草の香りで目が覚めた。ベランダで一服していたらしい彼の方へ顔を向けると、柔らかく光る紅と目が合う。 「おはよう、先生」 起きたばかりだからか、鼻に詰まったような気だるげな声は甘く大人の色気を纏っていて、その響きの心地よさに思わず頬が緩む。 「…何だよ」 「声が…セクシーだな、と思ってね」 そう素直に伝えると、左馬刻くんが一つため息をついてこちらに近づいてくる。顔の横に手をつかれ、ベッドがきしりと音を立てた。唇が合わさり、煙草の香りが鼻に抜ける。 「……先生には敵わねぇよ」 252