一度は抵抗した。けれどそれっきりだった。
子供扱いされているのかと思えば受け入れるその唇は迎え入れる様に舌の侵入を許していた。
少し薄い唇は慣れない動きに翻弄されているように見えたルーク自身も慣れてはいなかったが、たまらなく愛おしいと感じていたのだ。
最初はただキツく吸い上げるだけのキスしかできずに困惑させていたけれど、リュウが許してくれる限り実際に何度も唇を重ねては練習をさせて貰っていた。
…その度に、ルークがどんな気持ちになっているかも分からずに。
「ン、ッ…ぐ…」
「…リュウ、口…開けて。もうちょっとだけ……ん…そう…」
「あ…」
小さく漏れた息に小さく笑いながら後頭部に差し込んで支える様に手を広げた。角度を変えては口の中を舌でなぞり、貪る様に吸い上げた。息を奪う様に噛みついてやればそっと肩を手で押してくるがやがてそれはしがみついてくるようになった。
「ン、っふ、ぅうっ…ん、むっ…ぅ…」
静かな部屋に響く音が耳に強く響いて腰が砕けそうなほど蕩けてしまいそうだった。ルークが目を薄く開けて、リュウの睫毛を捉える。
瞳は見えないがきっと、その目に映る自分は必死なのだろうと思った。
「…っ…は…!」
リュウが息苦しそうに口を離して顔を背ける。
ルークがあ、と思わず声を漏らすと恥ずかしそうに目を伏せて長い…とだけ口にした。
「はは…ごめん。でもリュウ途中から腰が揺れてた。」
「……それは…」
「意地悪じゃない、俺は本気だから。…それに抱かせてくれるって言ったの、リュウだろ?」
耳を甘く噛んで、腰から臀部へと手を滑らせて持ち上げる様に揉むと小さな声で名を呼ばれた。
それは抵抗なのか、誘惑なのか。
どちらにせよそれだけで十分だった。
「今度はリュウからキス、してよ。」
「…君…は本当に…」
不慣れなキス。ちゅ、と音を立てて離れていく唇。
それを追いかけて壁にリュウを押し付けながら噛み付く。
堪らない、そんな風に。
「ンッ………!」
(何もかも、たまらなくなるな…。)
自分より歳上の男がこうも可愛く見えるものか。
…そんな事を言った所で、彼はただわからないと言わんばかりの顔をして困るのだろうが。