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    hamjanriro

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    hamjanriro

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    誕生日ネタ五悠。ゆじだけ事変後みたいになってますので、事変読んでない方はネタバレ注意。謎時空、謎設定。設定に矛盾あったら目を全力で逸らしていただければ幸いです。今更誕生日ネタ書き上げたので供養に。

    #五悠
    fiveYo

    放課後。鮮やかな茜色が校舎を染め上げている。授業こそ終わっているものの、虎杖は赤点だった数学の補習のせいで、いまだに机に肘をついて数学のプリントと睨めっこしていた。五条はそんな虎杖を教壇から楽しそう口角を上げてじっと見つめている。虎杖は分からないとこが分からないという深刻な学習状況の中、五条にヒントを出してもらいながら、ようやく最後の問題を解いているところだった。

    「そういえば明日だね。悠仁の誕生日」
    「んー?あれ、俺先生に言ったけ」
    「僕を誰だと思ってるの。悠仁の担任よ?生徒の個人情報は把握済み」
    「なんか握られちゃいけない情報まである気がする」
    「そんなことないよー、せいぜい初恋の人ぐらい。悠仁は保育所の先生だっけ」
    「それ絶対教育には必要ないよね!てかマジでどこから仕入れてきた!」
    「秘密〜!ねえねえ、明日ケーキ食べようよ」

    五条は待ってる時間に退屈したのか、うんうんと唸っている虎杖に話しかける。プリントから目を離さずに返事をする虎杖は、問題の難しさからか、しかめっ面だ。

    「任務ないでしょ?僕美味しいとこ知ってるんだ。悠仁が気にいるケーキもきっとあるよ」
    「あーごめん先生。先約があるわ」
    「…………えっ」

    五条がご機嫌に店名を挙げて、お気に入りのケーキの特徴を伝えようとしたそのときだった。虎杖はそんな五条にさらりとNOを突きつける。自身の耳に届いた言葉が信じられず、目を大きく見開いて、有り得ないものをみるような顔つきで五条は虎杖をまじまじと見た。
    それもそのはず。軽くお誘いしてるように見えるがこの男、目の前の少年に並々ならぬ想いを寄せていた。少年を想って毎晩花占いをしては、机の上を花弁で埋め尽くしてしまうほどに。そのため、事前に虎杖と自分のスケジュールを綿密に調整して(伊地知を脅して)、明日は絶対に任務が入らないようにしておいたのだ。緊急任務も七海に流れるように五条自らお願いしたぐらいだ。七海は普段なにも言わず仕事を勝手に放り投げてくる五条の態度とは真逆のそれに、天変地異の前触れかと恐れ慄いていたが。
    五条の本音としては夜は豪華なディナーに連れ出して、美味しいものをたくさん食べさせてあげたい。しかしいきなりがっついて嫌われてしまうのを恐れた五条は、そこまでハードルも高くないと思われたケーキを口実に好きな子の誕生日に一緒に過ごすことにしたのだ。なのにそれを断られるとは。五条は深い絶望に打ちひしがれた。

    「誕生日だよ?!食べるでしょ、ケーキ!」
    「食べるよ?伏黒と釘崎と二年の先輩たちと」

    しつこく食い下がる五条に虎杖が当然のように返すと、今度こそ五条は膝から大きく崩れ落ちた。二十八歳高身長のイケメンが教室の床に転がっている。なかなかの迫力だが、あまり見たくない絵面だ。サングラスをかけた五条をナンパしていた女性が見れば引くことは間違いない。だが五条はそんな世間体や格好などはどうでもよく、足に力が入らないほどただただ悲しみに暮れていた。

    「聞いてないんですケド…?」
    「そりゃ今言ったからね」
    「そうじゃなくて!それって誕生日パーティーでしょ。なんで僕だけ除け者にするのさ」

    担任ですが?大事にしないと内申に響きますが?と独り言にしては恐ろしい脅し文句を地面と顔をつき合わせながら、唇を尖らせてぼそぼそと呟く。教師としてあるまじき発言だが、一応補足しておくと、高専生の多くは卒業後呪術師になるので、あまり効かない攻撃であるのは五条も虎杖も知っている。

    「悠仁〜、主催者は誰かな?こうなったら直談判してやる」

    立ち直りの早さも最強なのか、五条は先ほどの情けない姿をなかったかのようにすくっと起き上がる。このまま引き下がれないと誕生日パーティーの主催者を探し始めた。野薔薇か?それとも…と五条は不敵な笑みで思い当たる人物の名を声に出して挙げる。

    「当たらずとも遠からずって感じかな。主催者は確かに釘崎だよ。でも釘崎はちゃんと先生を誘おうとしてた」
    「じゃあなんで僕は誘われてないの」
    「それは他の奴が先生を誘わないでって言ったから」

    先ほどのラスボスに匹敵するほどの悪どい笑みを張り付けていた五条の顔がびしりと石のように固まる。目に入れても痛くもないほど可愛がってるつもりの教え子にそんなことを言い出す者がいたのだ。五条のショックは計り知れない。

    「僕ってそんなに嫌われてるの。結構、いやかなりショック。泣きそう」
    「あー…、勘違いしないでね。そいつは先生のこと嫌いだから誘わなかったわけじゃないよ」

    脳が言葉を処理した瞬間、五条の心臓が嫌にどくりと大きく脈打つ。次いで、頭が真っ白になり、浅い呼吸を繰り返す。

    だって、その言い方ではまるでーー
    嫌な予感。五条は全身の血の気が引いていくのを感じながら、微かに震える唇で虎杖に問うた。なんで分かるのか、と。自分の確信を否定して欲しくて。しかし、その藁に縋る思いは無惨にも恋心を抱いてる本人に粉々に砕かれることになる。


    「だってそれ言ったの、俺だもん」




    誕生日。
    それは大人になるつれ疎かになりがちだが、学生のうちはまだまだ大切なイベント。それが虎杖の目の前にも訪れようとしていた。

    「あら?アンタもうすぐ誕生日じゃない。パーティーするわよ!」
    「えっ、まじで?!開催してくれんの!」

    釘崎の言葉に目を輝かせる虎杖。隣の伏黒は同意の言葉こそないものの、文句を言わないところを見ると参加の意思を示してるようだ。

    「そうだ。どうせやるんなら先輩たちも呼ばない?大人数の方が楽しいでしょ」
    「楽しいというより、騒がしくなりそうだけどな」

    誕生日パーティーの話は大いに盛り上がり、三人とも三月二十日に向けて楽しそうに計画を練っていた。しかし話の途中、伏黒はある事実に気づいてしまう。深刻そうな面持ちで顔を上げて二人の顔を見やると、ひどく億劫そうに声を出す。

    「……五条先生呼ばないと後で絶対面倒なことになる。あの人抜きで虎杖の誕生日会したと知られたら最後、一日中付き纏われて駄々をこねるぞ」
    「あの二十八歳児ならやりかねないわね。はあ、しょうがないから呼んでやるか」

    一日中駄々を捏ねた大人を想像したのか、二人ともげんなりとした表情を浮かべる。仕方なしに五条を誘う方向で話は流れそうになるが、意外なところから待ったをかける声が。

    「ごめん。今回は先生は呼ばないで欲しい」
    「は?なんでよ。面倒ごとは私イヤ。……イヤだけど、理由があるなら言いなさい。事と次第によっては汲み取ってやらんこともない」
    「お前がそんなことを言うの珍しいな。何かあったのか?」

    誰とでもそつなく接することができる虎杖がそんなことをいうのは珍しい。ましてや、側から見れば関係良好と思われる五条を拒絶しているのには、それなりの理由があるのだろう。二人はらしくない虎杖を心配していた。その優しさに、虎杖は罪悪感を感じつつ、自分の主張を押し通すべくゆっくりと口を開けた。

    「実はーー」


    話を聞いた二人は納得は言ってないようだったが、主役の言うことだ。「次回」は参加させる約束を取り付けて、今回は虎杖の方針に従うことにした。
    かくして、五条抜きの虎杖誕生日パーティーが開催されることとなったのだった。



    三月二十日。五条は一人、職員室で自分のデスクに顔を突っ伏し項垂れていた。

    五条が虎杖への気持ちを自覚した当初は何かの間違いだと、気づかない振りをして生徒と教師の関係を保っていた。クズと言われる五条にだって多少の倫理観は持ち合わせている。しかし、それは虎杖本人の手によって戻れない深みまで突き落とされてしまう。何てことはない、ただの日常の積み重ねで。そうなれば五条の中の選択肢は一つ。この楽しい地獄を虎杖と共に歩むだけだ。
    五条は虎杖を手中にすべく、あの手この手でアプローチを試みていたが、その真っ最中に誕生日会に来るなと本人に言われてしまったのだ。
    はあー、と重苦しい息を吐き、感情のまま頭をガシガシと乱暴に引っ掻く。その反対の手でデスクの引き出しを開けると、お菓子がぎゅうぎゅうに詰め込まれたそこから飴を取り出し、慣れた手つきで包装紙を外して口の中に放り込む。貪るように音を立てながら噛み砕いてカケラを飲み込むと、ベタベタした甘さが喉に絡みついた。しばらくの間、飴を口の中に投入してはシュレッダーみたく粉々にしていると、後ろから声をかけられる。

    「やあ、なにをそんなに苛立ってるんだい」
    「……硝子か」

    振り向かず、声のみで返す。声をかけてきたのは五条の同期の家入だった。そんな五条の様子にも気にせず、隣のデスクに腰掛ける。

    「今、一年の教室の前を通ったら楽しそうな声が廊下まで響いていたよ。聞いたら、なんと虎杖の誕生日会だそうだ。一年と二年が勢揃いでお祝いしてるなんて微笑ましいじゃないか」
    「ふーーーん。あっそ」
    「誘われなくて拗ねるなよ。ああ、違った。主役から来ないでって言われたんだっけか…?」

    ぶちりとこめかみから血管が切れる音がした。五条は乱暴にデスクに手をつき、勢いよく立ち上がると家入に向き直り、捲し立てた。

    「はっきり言ったらどうだ。好きなやつの誕生日も祝わせてもらえな残念な野郎だって」
    「そこまでは言ってない。本命になると途端に面倒になるな、お前」

    やれやれと散々煽った癖に呆れた態度を取られ、五条の握りしめた拳に自然と力が込められる。代わりに怒りの言葉をぶつけようと口を開くも、家入が手に持っていたスマホの画面を目の前に突き出されたことで遮られた。五条は目の前の画像を怪訝そうに見る。

    「ケーキ?」
    「野薔薇たちが手作りしたそうだ。あー、あと。今日の校舎の見回りは代わってやる」
    「は?何言って…」
    「面白いものが見れた礼だ。上手く使えよ」

    そう言うな否や、その場を立ち去った。ヒールの音が遠ざかっていくと、再び職員室に静寂が訪れる。五条はしばらくその場に立ち尽くしていたが、やがて体の力が抜けたようにドサリと椅子にもたれかかった。天井を見上げて、腹の底から息を深く吐く。

    「随分と回りくどい応援だな。……でもまあ、やってやるさ」




    「みんなには悪いことしたなあ」

    暗闇に溶けてしまうほどの小さな呟き。
    虎杖は夜の教室にいた。窓から差し込んでくる満月の月明かりのおかげで教室がほんのり照らされており、照明をつけなくてもなくともなんなく動けそうだ。自席に辿り着くと、手に持っていた箱をそっと置く。丁寧に開封すると、中の物が外の空気に晒される。それは一切れのショートケーキだった。

    虎杖にとって、ケーキとは日常的に頻繁に食べるものでなく、特別な日に食べるものであった。特別な日の典型例は誕生日だろう。生まれたことを祝う大事な日。虎杖はその日にケーキを一緒に食べる相手は家族、友達、恋人といった特別な関係にある人でなくてはいけないと思っている。なので、今日釘崎や伏黒、高専の先輩といったかけがえのない大切な仲間と一緒に食べられたことを虎杖は非常に喜んでいた。嬉しさのあまり口角が上がりそうになるが、そこまで考えると白髪の男が脳裏にチラつく。ほんの少し思い浮かべただけで高鳴るどうようもない胸を力強く拳で叩いて落ち着かせた。五条のことは最強の名に見あった実力を尊敬しているし、性格は合うし、一緒にいて楽しいと思う。でも、五条とはどうしても今日という日にケーキを一緒に味わいたくなかった。五条がその特別な関係になってしまうのは、なんとしてでも阻止したかった。
    だって、虎杖は五条のことが好きだから。
    だからこそ、この線引きは絶対に超えさせてはいけない。恋は素晴らしいものとは言うけれど、誰も幸せにならない恋を誰が拍手するのだろう。そもそも自分は幸せになるなんて許されてはいないのだ。自分は宿儺の器としての責任を果たす。ただ、それだけ。恋人という自分の唯一なんてものは存在してはいけない。

    おもむろに付属したプラスチックフォークを取り出す。虎杖は今日という自分にとって特別な日に、五条との繋がりが深いこの教室で、五条を彷彿とさせる白くて甘いショートケーキを胃の中に収めることで、ケーキと共にこのどうしようもない感情を消化したかった。
    虎杖は覚悟を決めたようにフォークを力強く握りしめると、自分の恋とみなした甘く白い塊に手を伸ばす。さよなら、と呟きフォークがそれに届く寸前。

    「なに美味しそうなの独り占めしてるの?僕にも一口ちょうだい」

    思考と共に呼吸が止まる。勢いよく声のする方へ顔を向けると、教室の扉にもたれかかっている五条が目に入った。誰かさんが来るなって言ったせいで、ケーキ食べ損ねたんだよねー、などと呑気に喋っているが虎杖はそれどころではない。廊下を歩く音やドアの開く音など一切聞き取れなかった。そもそもこの男にかかれば、そんなものが存在したかどうかも怪しい。心臓の鼓動が激しく打ち鳴らす。これは警報だ。動揺から息が浅くなりそうになるが、それを飲み込み、平静を装う。

    「先生なんでいんの?てか、このケーキはだめ!みんなが作ってくれたやつだから、俺が食べないと」
    「悪い子がいないか見回り。そんで、嘘つく悪い子発見ね」
    「嘘なんかついてないってば!先生知らないだろうけど、これはみんなと食べた残りで…」
    「手作りにしては綺麗にカットされてるね。ふふ、野薔薇が手作りしたとは思えない」
    「っ、先生ったら!それは釘崎に失礼、だよ」
    「ああ、ごめんね。そういうじゃなくて……頑張るなあと思って」

    何故か可笑しそうに笑う五条に虎杖は訝しげな視線を送る。虎杖の視線を浴びながら、五条はスマホを取り出して操作したと思ったら、一枚の写真を虎杖の前に見せつける。笑顔でケーキを持つ虎杖を真ん中にして、自由なポーズを取って楽しそうにしている生徒たちの写真だ。一見すると微笑ましい光景。しかし、ここには虎杖にとって不都合な事実が映し出されていた。写真で虎杖が持っているケーキは真っ白ではない。野薔薇が手作りしたケーキはチョコレートケーキだった。

    「それ、わざわざ別で買ってきたんだよね。悠仁には聞きたいことがたくさんあるんだ。……さあ洗いざらい吐いてもらおうか」

    虎杖は確固たる証拠を持った五条に追い詰められた。ケーキの写真の入手経路が分からなかったが、虎杖は情報提供した人を恨めしく思う。犯人が崖っぷちに立たされたように言い逃れできない状況に自然と目線が下がる。

    虎杖はしばらく黙り込んだが、それに対して五条は何も言わずにただ待った。静寂が二人を包む。窓が少しだけ開いていたせいか、春の近さを感じられる湿った土の香りを乗せた風が二人の側を吹き抜けていった。教室の掛け時計の針が、まるで虎杖を責め立てるように時を刻む音を静寂に響かせる。
    虎杖は観念したように息を大きく吐き出すと、五条の目を見つめる。そして、まるで刑事ドラマのラストシーンのように、犯人が動機を語るように話し出した。

    「俺は先生のことが好きなんだ。恋愛的な意味で」
    「……えっ、」
    「だからこの日、この場所で、この気持ちを捨てようとした。俺には不要なものだったから」

    驚く五条を置いてけぼりにして、虎杖はまるで独白のように紡ぎ続ける。

    「俺さ、幸せになっちゃけいないんだよ。宿儺の器で、死刑囚で……人を救うどころか多くの人の命を奪って。俺は今自分が生きてることも許せない。今すぐにでも死ねるなら死にたい。けど、俺だけにしかできないことがある。そのためだけにこの心臓は動いてるんだ。だから俺は今日、幸せにならないために恋を捨てる。そう決めた」

    だから邪魔しないで先生、と悲痛な顔で無理に笑う虎杖。はちみつ色の瞳に切なさが宿る。
    両思いの告白は嬉しいはずなのに、五条の感情は全く浮上しない。それどころか怒りが込み上げてくる。独白を終えた虎杖にぐつぐつと燃えるような瞳で見返した。

    「自分の幸せを自分で奪って、それで誰が喜ぶの。悠仁の周りはそんな人たちなの?野薔薇も恵もそんな人間だと思ってるんだ?確かにあったよ、いろんなことが。悲しいことも悔しいことも、そんな言葉じゃ収まらないこともあった。でも!それで耳を塞いで、目を閉じて、心を無にして自分を縛り付けてるはやめろ。やらなきゃいけないことがあるから、死にたいけど死ぬわけにはいかない。そんな生きながら地獄を歩んでる子をどうやったらほっとけるの。ましてや自分の好きな人を。自分は不幸にならなきゃいけないなんて、そんなくそったれな考え捨てちまえ。悠仁を幸せにできるのは悠仁だけなんだよ」
    「……嫌だ、優しくすんな、もう俺のことなんかほっとけよ!俺は仲間だけでいい、先生もその枠からこっちにこないで。お願い。先生も俺のこと好きだなんて、そんなのだめだ…俺のせいで死んだ人達に合わせる顔がない」
    「……あれは悠仁のだけのせいじゃないのに。まあそこまで言うならさ、あの世で一緒に謝ろうよ。僕も一緒について行くからさ」
    「そんな適当にいうなよ!」
    「適当なんかじゃなくて本心だよ。悠仁のこと、あの世でちゃーんと待ってるからのんびり来ていいよ」
    「はっ、ひどいや先生。俺に死刑宣告した人とは思えん発言だね」
    「まあね。でも、今もあの世でも悠仁をぜえったい幸せにするって決めたから」

    虎杖の瞳はいまでも切なさは消えていない。だが、微かな光は宿った。

    「……俺は今でも自分を許せない。けど、先生が無理矢理幸せにしてくれんだったら。幸せでいいやって思ってしまったら」

    「誕生日に、先生が言ってた店でケーキを一緒に食べよう」
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    MOURNING誕生日ネタ五悠。ゆじだけ事変後みたいになってますので、事変読んでない方はネタバレ注意。謎時空、謎設定。設定に矛盾あったら目を全力で逸らしていただければ幸いです。今更誕生日ネタ書き上げたので供養に。放課後。鮮やかな茜色が校舎を染め上げている。授業こそ終わっているものの、虎杖は赤点だった数学の補習のせいで、いまだに机に肘をついて数学のプリントと睨めっこしていた。五条はそんな虎杖を教壇から楽しそう口角を上げてじっと見つめている。虎杖は分からないとこが分からないという深刻な学習状況の中、五条にヒントを出してもらいながら、ようやく最後の問題を解いているところだった。

    「そういえば明日だね。悠仁の誕生日」
    「んー?あれ、俺先生に言ったけ」
    「僕を誰だと思ってるの。悠仁の担任よ?生徒の個人情報は把握済み」
    「なんか握られちゃいけない情報まである気がする」
    「そんなことないよー、せいぜい初恋の人ぐらい。悠仁は保育所の先生だっけ」
    「それ絶対教育には必要ないよね!てかマジでどこから仕入れてきた!」
    「秘密〜!ねえねえ、明日ケーキ食べようよ」

    五条は待ってる時間に退屈したのか、うんうんと唸っている虎杖に話しかける。プリントから目を離さずに返事をする虎杖は、問題の難しさからか、しかめっ面だ。

    「任務ないでしょ?僕美味しいとこ知ってるんだ。悠仁が気にいるケーキもきっとあるよ」
    「あーごめん先生。 7248

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