幼少期妄想壁際の村には学校がなく識字率も低いので文字を習える子供はそう多くはなかった。だがシュウに非凡の才がある事を察した村長の計らいにより、畑仕事のあとに村長の自宅で文字を教えてもらえるようになったシュウ。あっという間に村長が書ける文字も覚え、見せてもらった貴重な本の知識も水を飲むようにすらすらと吸収していった。
シュウも文字を覚えること自体もちろん楽しかったが、本が読めるようになる事で村の中や周りにいる大人達からでは到底知り得ない新しい物事にふれることが、シュウにとって何よりも心地の良い一時であった。
本で村の外の世界を知ったシュウ。初めての経験に夢中になって何度も本を読み込む。幼馴染のカイが遊びに誘っても一向に外に出ようとしなくなったので、カイもしゅうびちゃんが何に夢中か知りたくて一緒に見るようになる。
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