学生フェヒュ——暗器ストリップいくらかのセイロス教団が居を構え、堅牢なる信仰と城壁を纏うガルグ=マクとはいえ、人の世に生まれ落ちた以上老いは等しく訪れる。
それも千年を目前にした老体、あちらこちらとガタがきていることについては事前にセテスが宣言していた。
何事もなければいいのだが、とアロイスがぼやいていたのが数節前。
ヒュ―ベルトはよもや自分がその"何事"に巻き込まれるとは、露とも思っていなかった。
「…………」
彼の私室、窓の近く、備え付けベッドの頭上。
そこは確かに、雨漏りしていた。
俄かに強い雨が降ってきたと外を見上げた際に気付いたもので、ヒュ―ベルトはとりあえず雨だれから荷物を避難させる。
他に同じ状況の者がいないだろうか探すためヒュ―ベルトが部屋の外に出たのと、カスパルが隣の部屋から困ったように顔をのぞかせたのは同時だった。
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