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    雑誌表紙ネタの話。妹の手のひらの上で踊っている。

    #シャアシャリ

    雑誌の表紙を飾るタイプの🟥🟩アルテイシアが政権のトップに立ってからそれなりの月日が経過した。連邦との関係はそれなりに落ち着いてきていたが、それでも過激派はシャアを担ぎ出そうと動いているようで、特務機関であれうシャリア達はずっと忙しい日々を送っていた。
    シャアが彼らと関わらない様に逃げ回っているのは把握しているけれども、だからといって空の神輿を担がれて暴れられるのも困る。火種は大火になる前に消さなければならない。
    「そろそろ休みが欲しいですよぉ」
    キーボードを叩きながらコモリがぼやく。
    「そうよねえ…私も買い物とか遊びにでたいわ」
    決裁サインを書類に書きながら、アルテイシアも呟く。
    「いけませんぞ!」
    「駄目です」
    ランバとシャリアの声が重なり、アルテイシアは綺麗な頬を膨らませた。
    「わかってますぅ」
    不貞腐れた様子は年頃の女性らしく、ほんの少しだけ罪悪感が湧いた。
    だが、その罪悪感も次の言葉で消し飛んだ。
    「兄さんに広告塔になってもらえばいいんじゃないかしら」
    「アルテイシア様!?」
    「ほら、兄さんが私の派閥にいないから過激派が勝手にやるんでしょう?なら、それを分かる形にすればいいのよ」
    「ええと、具体的にどのような?」
    「そういうの」
    それ、とアルテイシアはコモリが買って積んであったファッション雑誌を指さした。
    「ファッション誌なら軍属とか派閥とか関係ないでしょう?」
    にこりと綺麗な笑顔を浮かべて見せるアルテイシアは、全くもってシャアとそっくりだった。笑顔で無茶ぶりをしてくるあたりとか、こちらが断れないと分かっているあたりも、本当によく似ている。
    「あのー…確かにそれはいいかもしれないんですが、どうやって大佐にそれを依頼すれば…」
    「あら、簡単よ?」
    「簡単ですか?」
    自分がやる事になるだろうなと理解しているコモリが嫌そうな顔を隠しもせず、首を捻っている。
    「シャリアとエグザベで表紙を飾る用に依頼書を書いて雑誌社に打診して頂戴。多分それだけで、連絡が来るわ」
    「はあ…」
    「あの、エグザベ君はともかく私もなんですか?」
    「灰色の幽霊が伝説だと思っている連中が減らないから、いい機会よ」
    確かに実在してアルテイシアの傍にいると知られればそれだけ下手な暗殺は減るだろうし、くだらない暴動も減るだろう。シャリアの矜持とか何かしらも減るが。
    「で、いいでしょう?シャリア大佐」
    勝手に上げられた階級を強調するアルテイシアに、否は唱えられなかった。
    「コモリ少尉、手配お願いします」
    「了解です。エグザベ君、驚くだろうな…」
    偶々他部署におつかいに出ているだけのエグザベはきっと目を白黒させるだろう。
    シャリアはそっと目を逸らし、次の書類に手を伸ばした。


    それから数日後、アルテイシアの執務室の扉を勢いよく開いてシャアが飛び込んできた。
    「これはどういう事だ!なぜシャリアが!」
    アルテイシアは分かっていたのか、平然としながらペンを置いた。
    「ノックくらいしてちょうだい、兄さん」
    「している暇など!いや、この企画をしたのはお前だな!」
    シャアはアルテイシアを睨みつけながら見覚えのある書類の束をつきつけてくる。ニュータイプの感応などなくとも、それが例の雑誌の表紙企画の提案書である事はわかった。
    「そうよ、いつも暑苦しい格好だし、偶にはこういうのもいいでしょう?」
    「その意見にはまったくの同意をする。だが、キシリアの部下とセット売りするのは許さん」
    「でも他に一緒に出てくれる人が居ないから仕方ないでしょう」
    「私が出る!」
    出撃でもするのかという勢いで、シャアが宣言をした。
    「シャリアと私はMAVだぞ?何故呼ばない!」
    「あら、逃げるのに忙しいのかと思ってたわ」
    バチバチと火花が散るような睨み合いが数秒続き、それからシャアは顔をこちらに向けた。
    「というわけだ。提案書は書き直してくれ」
    数日前に見たような、きれいな有無を言わさない笑顔を向けられ、シャリアはまた頷く事しか出来なかった。
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