流れ星に願えば望みが叶う。地上の子らから聞いたという、そんな話をしていたのはカマエルだったか。
流れた星の行き先を、楽し気に追っていた声は今、腕の中でか細い嗚咽を上げている。すでに剣を置いていて良かった、と思う。震える肩を抱き、その頭をなでるには、両腕がなければ叶わない。
地上の子らは、どんな願いごとをしたのだろう。誰が願えば、この結末を変えられたのだろうか。この自分か? 天使たちか? 力を与えたあの娘か? ……あるいは魔皇か?
夜とともに地上に降りた、天使たちは言っていた。地上から見る流れ星は、こんなにも遠いものなのかと。
だが天上から見る星もまた、手の届かない距離なのは変わらない。誰が願ったところで、正しく叶うはずがなかったのだと、理解をしたから剣を掲げた。願いはそうして、すべてに等しく降り注いだのだ。
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