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    kaoryu12273

    五夏、及岩です。

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    kaoryu12273

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    3~6月に出すかもしれない話の冒頭です。
    相変わらず記憶なし×ありの転生。
    舞台はずっと未来かもしれないこの列島の何処かです。
    もし一言でもあれば、こちらから!
    https://wavebox.me/wave/3vwvg0bho3p7xq56/

    イベント中に増えるかもしれないし、Xで連載をはじめるかもしれません。

    #2423_今夜帳の中で
    #五夏
    GoGe

    いつか一緒に 昨日知り合ったばかりの男は不思議な家に住んでいる。
     階段は外付けで、外壁は淡いミントグリーン、幼児が積み上げた積み木のように、少し凹凸のある三階建て。
     雨ざらしになっているせいか、ところどころ塗装が剥げていて、鉄さびが滲み出ている頑丈そうな階段を昇りきると、何もない屋上に辿り着く。本当に、何もないわけではない。洗濯物干しと台風でもきたら吹き飛ばされそうなプラスチックか何かでできている白い椅子が一つ、ぽつりと置かれていた。
     朝焼けも夕焼けも似合いそうな建物は、だけど北向きの路地に建っていた。周囲も家屋に囲まれているから、反対側がどうなっているのか、一見するだけではわからなかった。
     悟は目に付くあたりがどうなっているのか、その区画をくるくると歩いていた。平均よりもずっと長身の背丈を活かしても、やっぱりその内情は伺えなかった。
     それでもあきらめきれずに歩いていると、何周目だっただろう、外観と同じ淡いミントグリーンの門扉から一人の男が出てきた。
     肩に付くほどの黒髪の男は、ちょうど建物のまえを通りかかった悟を凝視してきた。
     随分とぎょっとした顔をしている。けれど、悟は初対面の相手にそんな表情を浮かべられるのに慣れている。
     黒目、黒髪、薄らとした黄色味がかった肌色。この列島に住む大多数の外見はそんな色合いで構成されている。建物から出てきたばかりの男も例外ではない。そうして悟の外見は、その特徴が一つも当て嵌らなかった。
     白銀の髪に空色の眸。肌もそこらで見かける者たちよりもずっと白い。だけど顔立ちは突出した端正さがあれど、確かに列島に生まれるもののそれだ。悟はいわゆるアルビノだった。
    「……こんにちは」
     まじまじと凝視しすぎた不躾さに気が付いたのだろう。男は悟に向かって軽く頭を下げてきた。
    「こんにちは」
     悟も快活に挨拶を返した。気味悪そうに目を逸らされることなく、声を掛けられたのに嬉しくなった。
    「あの、うちになにか御用ですか?」
     男は遠慮がちに訊ねてきた。そこで初めて、悟は自分が不躾な視線にさらされた意味を理解した。先ほどから三十分程もこの一区画の周囲をくるくると歩き回っていたのだ。住人からしてみたら、その外見も相まって不審者に相違ない。
    「おもしろくて、かわいい色だなと思って。朝日にも夕陽にも映えそうで、ものすごくいい写真が撮れそう。って、思ったことない?」
     悟のまったく砕けた口調にも、男は面食らったようだった。僅かに眉間に皴が寄る。
    「考えたことないけど、カメラマンなんですか?」
    「違うけど」
     首を振って否定する悟に、男は今度は目を眇めた。
    「でも不審者じゃないよ。仕事で通りかかったんだ。僕は五条悟。少し離れた街で便利屋をしてる。この辺りに調達しないといけない資材があるって聞きつけてやってきたんだ。そしたら君の家? ものすごい面白い形してるから。ついつい見入っちゃった」
    「ああ、不思議なバランスで建ってるから?」
    「そう! 子どもの積み上げた積み木みたいじゃない? どこかに力入れたら崩れちゃいそう」
     悟の云い様に、男は吹き出した。
    「さすがにそんなやわな建物じゃないよ」
    「そっかぁ。階段が外についてるけど、家の中にはないの?」
    「それが、ないんだ」
    「ないの!」
    「ああ。おかげでなかなかの不便さを強いられてる」
     へー。悟は大きな眼をさらに瞠り、外付けの階段を見上げた。部屋と部屋を行き来するのに、いちいち屋外にでなくてはならないなんて。まったく不便でおもしろい。
    「ところで君、仕事の途中なのにいつまでもここで遊んでいていいのかい?」
    「あー、うん」
     悟は左手首の時計を見る。あと少しでおやつ時だ。
    「仕事は一人でしてるから。特に時間制限はないんだ。だからこれからどこかにお茶に行くよ。おやつの時間だからね」
    「おやつ……。甘いものが好きかな?」
    「大好き! どこか賄えそうないい店舗を知ってる?」
    「そうだな」
     男は腕を組み、思案顔をする。ついさっきまでの不審者を見る目付きはもう何処にもない。
    「私はコーヒーしか飲まないけれど。案内がてら一緒に行こう」
    「マジで」
     男の申し出が悟は途轍もなく嬉しかった。飛び上がってしまいたいほどだ。どうしてそんなに嬉しくなるのかわからないくらいに。
    「その舖、コーヒー以外にも飲み物は置いてる?」
    「お茶も出すし、紅茶もある。チョコレートドリンクも美味しいらしいよ。私は飲んだことはないけどね」
    「甘いものは嫌い?」
    「積極的には口にしないかな」
    「そんな勿体ない」
     悟は甘くて美味しいものに目がない。だけど香辛料のきついものが食べられないわけではない。ただ甘いものが好物なだけだ。
    「甘くて美味しいものを食べないなんて、人生損してるかもしれないよ」
    「そうだろうか」
    「絶対!」
     叫んで、悟は朗らかに笑った。ほとんど何の意味もない会話を交わしているだけなのに、男の隣で一歩一歩歩く足が撥ね上がるほど浮足立っている。
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    PROGRESS3~6月に出すかもしれない話の冒頭です。
    相変わらず記憶なし×ありの転生。
    舞台はずっと未来かもしれないこの列島の何処かです。
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    イベント中に増えるかもしれないし、Xで連載をはじめるかもしれません。
    いつか一緒に 昨日知り合ったばかりの男は不思議な家に住んでいる。
     階段は外付けで、外壁は淡いミントグリーン、幼児が積み上げた積み木のように、少し凹凸のある三階建て。
     雨ざらしになっているせいか、ところどころ塗装が剥げていて、鉄さびが滲み出ている頑丈そうな階段を昇りきると、何もない屋上に辿り着く。本当に、何もないわけではない。洗濯物干しと台風でもきたら吹き飛ばされそうなプラスチックか何かでできている白い椅子が一つ、ぽつりと置かれていた。
     朝焼けも夕焼けも似合いそうな建物は、だけど北向きの路地に建っていた。周囲も家屋に囲まれているから、反対側がどうなっているのか、一見するだけではわからなかった。
     悟は目に付くあたりがどうなっているのか、その区画をくるくると歩いていた。平均よりもずっと長身の背丈を活かしても、やっぱりその内情は伺えなかった。
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    いつか一緒に 昨日知り合ったばかりの男は不思議な家に住んでいる。
     階段は外付けで、外壁は淡いミントグリーン、幼児が積み上げた積み木のように、少し凹凸のある三階建て。
     雨ざらしになっているせいか、ところどころ塗装が剥げていて、鉄さびが滲み出ている頑丈そうな階段を昇りきると、何もない屋上に辿り着く。本当に、何もないわけではない。洗濯物干しと台風でもきたら吹き飛ばされそうなプラスチックか何かでできている白い椅子が一つ、ぽつりと置かれていた。
     朝焼けも夕焼けも似合いそうな建物は、だけど北向きの路地に建っていた。周囲も家屋に囲まれているから、反対側がどうなっているのか、一見するだけではわからなかった。
     悟は目に付くあたりがどうなっているのか、その区画をくるくると歩いていた。平均よりもずっと長身の背丈を活かしても、やっぱりその内情は伺えなかった。
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