藍夫人の手紙ある日、藍曦臣と藍忘機は叔父である藍啓仁に呼ばれて、あるものを手渡された。その差し出されたものは、二人の父、青衡君宛の手紙だった。手紙の裏を見ると差出人の名は書かれていなかった。
「叔父上、この手紙は?」
「その手紙は、お前たちの母が書いたものだ。」
その言葉を聞いた二人は、瞠目する。
「先日、兄上の――お前たちの父の遺品を整理していたら、この手紙が出てきた。お前たち自身、自分たちの出自について詳しくはないだろう。私も正直、詳しくは知らなかった。手紙には、その詳細が書かれている。」
叔父の言葉にまじまじとその手紙を見つめた。
「読むかどうかはそれぞれに委ねるが、その手紙を渡しておく。」
兄弟二人は、一礼して退出した。
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