ふたりの庭で 外はまだほんの少し暗く、夜とも朝とも呼べない時間。何か物音を聞いたわけでもなく、ただ自然と目が覚めた。昨夜は恋人と向かい合って眠りについたはずが、今は反対方向を向いている。そっと隣を振り返ると、恋人は本を読んでいた。ベッドサイドランプの柔らかな光が恋人とその手元を優しく照らす。
「マーヴ…起きてたの」
「ん?ああ、なんだか急に目が覚めてしまって。すまない、起こしちゃったかな」
「ううん、俺もなんか勝手に目が覚めちゃった」
答えるとマーヴは小さく笑った。読んでいたのは俺が勧めた小説。結構気に入ってくれているみたいだ。マーヴは本を閉じて話し始めた。
「考えたんだけど…」
「なに?」
「このまままた寝るのもなぁって」
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