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    11minkus

    @11minkus
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    11minkus

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    サッカー部チャラめ年下攻め×自己完結型ぽちゃ年上受け

    あまりにも攻めくんが報われなさすぎなので、続き書ければ書きます。

    ※致してませんが、エッチな単語出てきたりするので注意※



     友人もおらず、特段いじめられてはいないものの、名前を出されても『そんな奴いたっけ?』レベルの誰からも認知されていない空気のような存在の俺。
     だが俺の学生生活にも密かな楽しみがある。それは放課後に誰もいない図書室で読書をすることだ。
     この学校で読書好きはいないのか、いつ行っても図書室は誰もいないし、図書委員すらいない。
     本の世界は良い。現実から目を逸らすことができるし、自分の好きな世界に没頭することができる。

     今日はなにを読もうかと廊下を歩いていると、窓の外のグラウンドでサッカー部が練習をしているようだ。
     中でも目をひくのは、二年のエースストライカーくんだ。
     流れるような茶髪に背が高く細身の体格。おまけにイケメンでスポーツ万能。俺とは真逆と言っていいほど、違う世界にいる人間だ。
     当然女子からの人気は凄まじく、彼の横にはいつも可愛らしい後輩や美人の同級生がいるらしい。クラスメイトが『イケメンだけど、女を取っ替え引っ替えしてる』と僻み丸出しで噂しているのを聞いたこともある。
     友人のいない俺の耳にもその存在が入ってくるのだから、相当な人気者だ。もはや別世界に生きている人間である。

     図書室棟に繋がる外通路に差し掛かった時、足元にサッカーボールがゆっくりと転がってきた。
     俺の足にぶつかって止まったボールを拾い上げると、スパイクがアスファルトにぶつかる独特の音が耳に入る。

    「すみません、怪我ないっすか?」

     目の前に現れたのは、先ほど目を引いていた後輩くんだ。
    初めて間近で見たが、整った顔していて光る汗すらアクセントになっているようだ。

    「ああ……うん」
    「よかったっす。ありがとうございます」

     ボールを渡して、じゃあ……と軽く会釈をして去ろうとしたその時、「あの……!」と彼の呼び止める声がした。
    周囲には彼と俺しかいないから、俺に声をかけたのだろう。

    「……?」
    「……話したいことがあるんすけど」

     そう言ったものの、彼はボールを持ったまま視線をウロウロさせて口を開こうとしない。
     無視して立ち去るという選択肢が思い浮かばなかった訳ではなかったが、彼に恨みなどないのにそんなことをする必要性は感じられなかった。

    「そこの図書室」
    「え?」
    「図書室なら誰もいないから、ここで話しにくいならそっち行こう」

     俺に一体なんの話があるのかは分からないが、話しにくそうにしているのでそのように言ってみると、彼はコクリと頷いて俺の後をついてきた。

     外通路にスパイクとボールを置いて図書室棟に入ってきた彼は、普段は来ることがない場所なのかキョロキョロしている。

    「図書室って来たことないから新鮮っす」
    「俺が来ても誰か居たことないしね」

     ガランとした図書室に入ると、ドアを閉めた彼が口を開いた。

    「あの、先輩。俺……先輩のこと好きです」

     好き?好きとはなんだ。
     俺は一方的に彼のことを知っているが、彼が面識のない俺に対して、こんな告白みたいなことをしてくるなんて理由が全く思い当たらない。
     ふと先日読んでいた小説の中に出てきた、人気者の男性がモテない女性に罰ゲームで告白……といった内容のシーンを思い出した。
     あの話が最後どうなったのかは覚えていないが、こんなことって現実にも起こるんだなとぼんやりと思う。
     不思議と悲壮感はない。俺がこんな扱いを受けるのは小中学校時代にもあったことだ。
     俺がそんなことを考えていたために、なにも言わない形になってしまい、その沈黙に耐えきれなくなったのか彼が言葉を続ける。

    「その、男同士でとか色々考えたりもしたんですけど……! エッチなこともしてみたくて……」

     ああなるほど、そういう事。
     セックスに興味はあるが、あいにく俺は彼を抱けそうにはない。だとしたら俺が抱かれる側か。
     罰ゲームでやってることなのかは分からないが、俺は校内では誰とも関わりがないし、数ヶ月後には卒業する三年だ。ちょっとしたお試し感覚で手を出しても、後腐れなく終われるだろう。
     人気者は下手に周りにいる女の子に手を出すと、大変なことになるのかもしれない。
     そもそも彼は俺で勃つのか?という問題はあるが、そんなことは今知ったところでどうしようもないだろう。
     まあ、俺はぽっちゃりと言うには行き過ぎたくらい太ってるから、目を瞑ればある程度の『おっぱい』の感触も味わえるのかもしれない。
     ここで断りでもしたら、あと少しで卒業というタイミングで『罰ゲームを信じて人気者をフッたアホ』として変に目立ってしまうだろう。それは御免だ。だったら俺が卒業するまでは『いつでもセックスできる気軽な存在』という役に徹した方がいいだろう。

    「いつでもどこでも呼べばセックスできるセフレ……、いやセックスだけの関係とはいえ俺とフレンドは無理だろうからオナホかな? 校内で誰とも関わりない俺なら、それにぴったりだってことだよね」
    「は……!?」

     『エッチなことがしたい』とぼかしてはいたものの、実際はこんなところだろう。直接『オナホになってくれ』なんて言うのは、さすがに無理があるよな。俺相手でなければ即ヤバいやつ案件だ。
     言いにくかった図星を言い当てられたからなのか、後輩くんは固まっているが、なにも言わないということはやはりそういうことなのだろう。
     『そういう相手』に選ばれたのなら、連絡先くらいは教えとかないと不便だよな。使われるかは分からないけど。
     入学以来誰とも交換したことの無かったメッセージアプリのIDをメモ帳に書き写し、未だに固まっている後輩くんにそれを押しつける。

    「肉あるからって俺のはおっぱいじゃないし、デブで陰気な俺みたいなのじゃなくて、いつも一緒にいるような可愛い子たちとエッチなことした方がいいと思うよ」
    「い、いや……待っ」
    「とりあえずそれ俺の連絡先。いらなかったら捨てといて。それじゃ」

     そもそも彼は、部活を途中で抜け出してここに来ていたはずだ。スパイクとボールを置いたままにしてたから、誰かがここへ探しにきてもおかしくはない。
     俺と話しているところを誰かに見られ、彼が問いただされても気の毒だ。俺は足早に図書室を後にする。


     連絡先を渡したからといって、連絡が来るとは思えない。
     そもそも罰ゲームなら連絡する必要すらないから、あの紙切れはゴミ箱行きだろう。
     そうでなかったとしても、実際に喋ったら『やっぱ無し』ってなるパターンに違いない。
     今日は本を読めなくて残念だったけど、小説よりも面白いことが現実で起こったから良しとしよう。


     図書室の中で項垂れ燃え尽きたような後輩くんが発見され、ちょっとした騒ぎになるまであと五分。
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