「明日には年が変わってるんだね」
教導官に見つからないよう、灯りを落とした部屋。カーテンの向こうからそっと差し込む外の闇の方が明るい。
私の言葉に、隣の神琳がそっと身じろぎをした。布が擦れる音。動きに合わせてベッドの中に篭った熱が少しだけ外へ出て行った。
「あと、一時間半程度でしょうか」
その声音はどこか億劫そうで、普段彼女の方が就寝時間が早いことを思い出した。私も、二人でくっついている温かさに意識が遠のいていきそう。
「今年は、いろいろなことがあったな……」
「えぇ、わたくしもです」
百合ヶ丘に来て、レギオンを組んで、ギガント級を討ち取った。他にも大小、数えきれないことがあったけれど、そのすべてに神琳がいる。
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