おおかみさんとこねこの話雨の日だった。全身びしょ濡れで寒さに震える仔猫を拾った。
ぐったりと青褪めた顔で地に伏して、鳴く体力もないのだろう。触れても、薄っすらと目を開けるだけで他に反応はない。
見たところ怪我はないようだったが、仔猫にとって雨に濡れること事態が良くないことだ。体温が低下して命に関わる。
タオルに包んで懐に抱えて暖めてやる。
僕は体温が高いから、これで少しでも熱をわけてやれたらいい。幸いなことに呼吸は安定していた。温もりを求めているのか、タオルの中でもぞもぞと動いて無意識に擦り寄ってくる仔猫の、汚れた頬や耳を舐めていると、ぴるっと耳が動いた。
閉じていた目が開く。拾った時は気付かなかったが綺麗な金色の瞳の仔猫がこちらを見て、不思議そうに瞬いた。驚いている様子も怖がっている様子もない。すんと鼻を鳴らした。確かめるように顔を寄せてくるのを好きにさせていると、ちょこんと鼻先が触れて「……にぃ」とちいさく鳴いた。
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