Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    @yoshiisakamaki

    @yoshiisakamaki

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 3

    @yoshiisakamaki

    ☆quiet follow

    現パロの物理学専攻のヘルと心理学専攻のテセの呟きが好き過ぎて捏造してしまいました…すみません

    #テセヘル
    texehere

    「ニュートン力学すら知らないとは言わさないぞ」
    「それぐらいは知っているさ!リンゴだろ?」
     ヘルムートの詰問にテセウスは叫んだ。子供でも知っている事を持ち出されて、馬鹿にするなと思う。ヘルムートが教授からも一目を置かれる程の、物理学の才があるとは言えだ。
    「ほう、ならそのリンゴが何なのか説明してもらおうか」
     そんなテセウスを認めてヘルムートは、腕組みをすると顎を掬うようにして続きを促す。それにぐぅと息を飲んで、何故言わなければならないんだと思いつつも、仕方無しにテセウスは説明を始めた。
    「リンゴが落ちるのに、ニュートンはある日気付いた。リンゴが落ちるのは……」
    「落ちるのは?」
    「地球に……重力があるからで……」
    「それならば、その重力とは?」
    「重力?僕にそれを説明させるのか?君の専門だろ?!」
    「それもそうだな……重力は、地球上を基準とし1Gで表され……」
     ヘルムートの説明は重力からニュートン力学、果ては万有引力にまで及んだ。テセウスにはやはりちんぷんかんぷんだった。弟の名前と同じだな、ぐらいのものである。
    「───物質と物質が引き合う力もまた、証明するのが物理学だと言うわけだが……テセウス、聞いてるか?」
    「聴いているさ、ただ少し理解が難しいだけだ」
    「少しか……いい加減理解しろ、何度かこのやり取りをしている気がするんだが?」
    「理解が出来なくても、何度も聴きたくなるんだ。君の声は心地好いから」
    「眠気でも誘うか?やっぱり聞いていないんだろう」
    「聴いているし、寝ていない。ちゃんと目だって開いてる。でなければ、君が見れないだろ?君が、君の好きな話をどんな風に話すのか……どんな顔をしているのか───」
     そう言いながらテセウスは、ヘルムートの頬に触れた。向かい合っていた顔がぐっと近付く。親指が口角を撫でると、慣例に従ってヘルムートは瞼を下げた。長い睫毛に縁取られた透けるようなブルーの瞳が閉じられる。勿体無いなと思いつつも、テセウスは顔を更に近付けて行った。
    「これだと、見えないな」
     重ねた唇を解くと、触れ合わせたままの鼻先で、テセウスはそう自嘲した。
    「これも引力?僕が君に引かれるのも、物理学で説明がつくということかい?───ヘル」
     ヘルムートに目を合わせられる距離で、触れたままの頬の先、テセウスはピアスを着けた耳に触れた。ピクリとヘルムートの目尻が動いて眉間の皺が深くなる。
    「───それは、お前の専門だろ……テオ」
    「それもそうか」
     人の心理なら、テセウスの専攻でヘルムートには門外だ。了見違いだと指摘され、テセウスは頷きながら笑うしかなかった。そんなテセウスに、いつものように眉根を下げ、ヘルムートは溜め息を吐いていた。

     二つの物質が引き合うのは自然の理
     それは必然
     引き合い、廻り合い───惹かれ合う
     他人は他人事に運命だと言うだろう
     何故なら『神は賽子を振らない』
     そう、気まぐれでも起こさない限りは───


    Psychological Relativitätstheorie 〜心理学的相対性理論〜
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    💕
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    related works

    recommended works