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    hozumi_mise

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    緒方先生バースデーへの悪あがき2

    狸だらけだけど腹黒狸はいなかった緒方さん保育園児で将来の道を決める。
    緒方さんの実家の背景オリジナル過ぎなのでもはやパラレル。
    そして塔矢先生視点。
    調べる時間がなかったので東京芸者の話し方は普通、置屋も適当です。そーゆー世界観だと思ってください。

     新年も明け既に十日以上経とうとしているが今だに新年会という名の会食が続く日々になんとも解せぬものを感じるのは一般常識として間違いではないと思いたい。
     それならば出なければよかろうと思えど棋士として仕事の一環であることも否めず、今日も渋々会食に参加している。
     本日は某会社会長と社長。スポンサーとしても大変お世話になっているとても大切な方々だ。若手の注目株としてわざわざ指名をしてきたのだから断るという選択肢は存在しない。
     昨年は自己最高の勝率を得ることが出来、酒の席になると次は棋聖だ、竜王だと囃し立てられ、その後、弟子を取らないのかと聞かれた後に、先ずは嫁をもらえ、紹介するぞと言われ。そのような会話の指南書でもあるのかと聞きたくなる程同じ内容が繰り返される。
     顔に出さぬよう注意を払いながらやり過ごしていると、会長の隣に座っていた若い芸者と目があった。こちらを見てニコリと笑うと、上手く会長の話に滑り込み、どのようなタイプが好きかという話を逸らしてくれた。
    「そういえば私も碁は好きでお遊びで良く打つのですけど、碁のプロの方は初めてお会いしましたわ」
    「ああ、お前も中々な腕前だったな。緒方君、ここはひとつ勝音と一局どうだ」
    「まあ、素敵。緒方さま、ここの女将も囲碁が好きで直ぐに盤の用意ができますわ。恐縮ですがぜひともお願いしたいです」
    「普段から数多くの人と打ちたいと思っています。こちらこそお相手願います」
     勝音と呼ばれた芸者により、酒宴から一局という願ってもない流れへと変わっていった。
     そして驚いたことにこの芸者、いや、勝音さんは少し打てるどころか院生、C、いやBクラス程の腕があったことだ。
    「いや、驚いた。君はかなり良い打ち手だ。プロになれるかもしれない程に」
    「ありがとうございます。プロの方にそんなに褒めて頂くなんて嬉しいわ」
    「いや、お世辞ではないよ」
     一局を終え、思ってもみなかった良い対局ができたと満足していると、勝音さんが面白そうなことを言ってきた。
    「まあ、本当素敵な方ねぇ。私、置屋の女将さんの息子さんに碁を教えたらあっという間に勝てなくなって毎日コテンパンにされているんですよ」
    「置屋の息子さんということはまだ幼いのだろうか」
    「ええ、来年小学校入学の幼子ですよ。環境のせいか口が回るこまっしゃくれた子ですが、周りがヒーロー物や電車とか騒いでいるのてんで無視で暇さえあれば碁、布団からライトの光が見えて何をしているかと思えば寝ずに棋譜を読んでいるような子でね、私の暇を見抜いては対局しろとせがまれるんですよ」
     私も好きだから良いんですけどねと笑う表情はその子供を愛おしく思う優しいものだった。
    「……一度、その子とも一局お願いしたいのだ」
     今までで対局を興味深げに見ていた会長が面白いことを見つけたとばかりに口を出してきた。
    「緒方くんがそんなに気になるなら対局してみれば良いじゃないか!女将!緒方くんとその子供の対局する場を貸してもらえるか、早ければ早いほうが良いのだが」
     盤を持ってきたまま会長と一緒に観戦をしていた女将がすぐさま場を提供してきた。
    「もちろんですとも。塔矢先生、明日の夕方からはいかがかしら。ちょうどこの部屋が空いていますわ」
    「それはありがたい。私も明日の夕方は空いています」
     そう答えると女将は勝音さんへと話を続けた。
    「勝音ちゃん、置屋の女将さんには私から伝えますから明日精ちゃん連れてきてもらえる?」
    「ありがとうございます。精ちゃん喜ぶわ。先週の塔矢先生の新年対局の棋譜、毎日見続けているんですよ」
     あまりにも順調にお膳立てされたような子供との対局。何やら思惑的なものを感じるが自分が興味を持った事には変わりがない。ここは流されて明日を楽しむことにしようと会長、女将、勝音さんに礼を伝えた。

    「まあ、私、囲碁も好きですが、唄と踊りの方がもっと好きなんです」
    「確かに先程の舞は見事だった。残念だか」
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