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    とらめ

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    とらめ

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    俳優🔥さん×代行サービス🎴くんの続き(その1)

    俺は光の速さで応答ボタンを押し、スマホを耳に押し当てる。
    「もしもし!?」
    『わぁっ!!』
    電話の向こうでゴツンッと鈍い音が聞こえた。よもや、壁に頭をぶつけたか…?
    『あっ、あの!えっと!れ、れん…きょ…!あのっ、おで、おでんわ…おまっ、おまち…!』
    「落ち着け!煉獄杏寿郎さんのお電話でお間違いないぞ!」
    『わああああっ!!!』
    今度はどんがらがっしゃんと派手な音が聞こえた。これは、ベッドから落ちたな…。
    大丈夫か?と聞くと、感極まったように、だ、大丈夫です…ゔぇっ…と返答があった。本当に大丈夫か…?

    その後は何となく言うべき言葉が見つからず、探るよう気持ちで押し黙った。それは相手も同じのようで、あの、えっと…などと小声で繰り返している。俺はひと呼吸ついて、ソファの真ん中に腰を落ち着けた。彼もすぅーっと深呼吸したのち、おずおずと話し始める。
    『あの、今日は本当にすみませんでした。訪問日なのに、急にお休みしてしまって…。』
    「気にすることはない。熱はどうだ。楽になっただろうか。」
    『はい、おかげさまでだいぶ良くなりました。なんだか色々頂いてしまってすみません。お気遣いありがとうございます。』
    話し方もしっかりしているし、どうやら熱が下がったというのは本当のようだ。俺はほっと安堵の息をつく。
    「電話、かけてきてくれたんだな。」
    『あっ、あの、すみません!こんな遅い時間に、ご迷惑でしたよね…!』
    「迷惑なものか!元気な声が聞けて安心した!」
    『はい!ありがとうございます!元気です!』
    俺につられてか声量が上がってきている。それが何だかおかしくて、くっくと笑いが込み上げてきた。それが聞こえたのか、電話の向こうから困惑しているような気配が伝わってくる。
    「いや、俺の方こそすまない。誰の番号かも分からないのに、よくかけてきてくれたな。」
    『それは…煉獄さんのだって思ったので…。』
    なにやら気恥ずかしそうだ。俺の心はぽかぽかと温まり、ずっと言いたかった言葉が自然と出てきた。
    「君には本当に感謝している。いつも迷惑かけてすまない。」
    『迷惑だなんて…!これが俺の仕事ですし、それに…。』
    言い惑ったのち、小声でもじもじと呟く。
    『それに、こうやってお世話できるの、俺だけなんだって思うと、その…嬉しくて…。』
    俺は思わず心臓を押さえ、ぐぅっと小さく呻き声を漏らした。可愛い。
    『あっ、でも今日は別のスタッフさんが訪問してるんですよね。俺だけじゃなくなっちゃったな…。』
    「それなら心配いらない!丁重にお断りした!」
    『えっ!?』
    「俺はすっかり君のファンになってしまった!世話を焼かれるなから君がいい!」
    『えっ!えっ!』
    あわあわと驚きの声を漏らしている。パニックになっているようだ。俺はここぞとばかりに畳みかける。
    「君の気配りはてきめんに効いた!俺の部屋に入っていいのも、私物に自由に触っていいのも君だけだ!悪いが他の人はご遠慮願おう!」
    返事はない。ひぅ…とか、へぁ…というような謎の呻き声を漏らしている。更にパニックになっているようだ。落ち着くのを待って反応を伺う。ややあって、彼は照れくさそうに答えた。
    『そっかぁ。煉獄さんもそう思って下さってたんですね。実は俺も、他の人が行くのはちょっとやだなって思っちゃって。えへへ。嬉しいなぁ。』
    そっか、そうなんだ、えへへ、とくすぐったそうな呟きが聞こえる。俺は再び心臓を押さえた。なんだこれは。可愛い。あまりの可愛さに自分の寿命が伸びているのか縮んでいるのか分からない。
    『あっ!じゃあ今日ごはんどうしたんですか!まさか食べてないんじゃ…!』
    「まだ作り置きが少し残っていたのでな!それをありがたく頂いた!心配するな!いざとなれば近くにうまい店もたくさんある!」
    そう言うと、もう、外食ばっかりしたらだめですよ、とクスクス笑われた。
    『明日は行きますから。お皿とかは水に漬けておいて下さいね。』
    「皿洗いくらいやっておくとも!部屋も見苦しくない程度には整えておこう!」
    『それじゃ俺の仕事なくなっちゃいますよ!でも、そうですね。ふふ、じゃあちょっとだけお願いします。』
    「うむ!任せておけ!」

    そんな風に話しているうちに、気づけば日付はとっくに変わっていた。病み上がりの彼にあまり夜更かしをさせてはいけない。
    「もうこんな時間か。遅くまで付き合わせてすまなかったな。」
    『いえ、そもそも俺がかけたのが遅かっただけなので。』
    「気にすることはない。話せて良かった。おやすみ、炭治郎。」
    『俺もです。おやすみなさい、煉獄さん。』
    そうお互いに挨拶はしたものの、どうにも名残惜しくてなかなか電話を切ることができない。明日はまた彼が来てくれる。そう思うと幸福感で胸がいっぱいになった。それじゃあまた明日、などと言い合って引き延ばしているうちに、ふと明日のスケジュールが頭に浮かんだ。以前マネージャーがポロッとこぼした発言から推察するに、彼の訪問時間と俺の在宅時間が重ならないように調整しているようだ。だが今回は急な予定変更。うまくいけば…。
    「ちなみにだが、普段俺の部屋の仕事が終わったら何をしているんだ?」
    『えっ?ええと、スーパー寄って、夕飯作って、ちょっとテレビ見て、お風呂入って寝る…ですかね。』
    最近はドラマもよく見るようになったんですよ!と、今見ているドラマのタイトルを教えてくれた。俺が出演している作品だ。放送日と開始時間から逆算するに、俺の部屋の仕事が終わるのは夕方頃だろうか。
    「そうか!俺も明日は早く帰れそうでな!」
    『そうなんですね!それはよかったです!』
    「うむ!そこで提案なのだが!」
    俺は一度息を吸い、聞き間違えの余地がないようはっきりと言った。


    「一緒に食事に行かないか!!」

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