師走「クリスマスデートしよう」
鍋を突きながら誘ったひと言に、怪訝そうな表情を浮かべられて、喜んでくれないのとワザと詰った。名案なのに。
「嫌だった」
「嫌じゃないけど、どうしたの」
「野薔薇が」
どうせ五条先生は夏油先生とリッチにクリスマスデートとかするんでしょ。着飾っていい店予約しちゃってさ。リア充はいいわよね。さみしい生徒たちのクリスマスパーティーに、カンパぐらいしてもいいんじゃない。
左手は腰に、右手を目の前に差し出して仁王立ちの勇ましい姿で、一息に捲し立てられた。うんうんと横で頷く悠仁と、明後日を見ている恵が面白くて、カンパしてきた。学生の内は遊ぶのも本分だ。
「だから、デートしたくなったんだよね」
2415