「二人とも、そんなに仲良かったっけ?」
「色々あったんだよ」
俺の膝の上に子供の姿のアキトを乗せている光景を凛子が不思議そうに見る。今のアキトの服装はウサギのパーカーだ
「あったよ」
アキトは俺に寄りかかりながら答える。
「そうそう、色々あったな」
俺はアキトの頭を撫でながら言った。
「・・・なんか怪しい」
「ね」
「もっと撫でて」
アキトが頭を俺の胸に擦り付けてくる。
「か、可愛い」
凛子は口を抑えながら言った。
「ん~♡」
撫でられて気持ち良さそうにするアキト。だが、心地よさのあまり
「お前ちっちゃくなってねえか?」
アキトが幼児くらいに若返った。
「しょーえねだからいいの」
「お、おう」
なんだかよくわからないが、本人が良いのなら良しとする。俺はそのままアキトの頭を撫でた。
「ねぇ、よるたべていい?」
「バッ・・・お前、ここでそんなこと言うなよ」
「だって、けぇけぇがあのときすきなだけたべろっていうから」
「あれはお前が死にかけていたからであって」
「何こそこそしてんの?」
「いや・・・」
「別に・・・」
俺は顔を逸らし、アキトはパーカーのフードを深く被って顔が見えないようにする。
「ま、いいわ。それより夜ご飯は?」
「あーもうそんな時間か」
俺はスマホを取り出して時間を確認する。今は17時前だ。
「どうする?作ってやろうか?」
「あんた料理できるの?」
「ガキ拾って育てりゃ自然と覚える」
「ふーん、ならお願い」
「あいよ。じゃあちょっとスーパー行ってくるわ」
「私も行く!」
「じゃあ私も」
絵梨佳に続いて凛子も付いてきた。
****
俺達はとあるスーパーに来ていた。ここのスーパーは品揃えがよく値段も良心的で文句はない。俺達はカゴを持って食材を見て回っていた。
「けぇけぇ」
声をかけられ振り向くとアキトが両手にお菓子を持っていた。
「お菓子は一つまでって言ったろ?」
俺は少し笑って言う。
「けぇけぇ・・・」
アキトがシュンとした顔を見せる。やめてくれ心臓が持たない。
「・・・しょーがねえなぁ、今日だけだぞ」
「わーい!」
俺はアキトを連れてお菓子をカゴに入れた。
「KKって子供に甘いんだね」
「そんなつもりはないんだけどな・・・っておいなにやってんだ」
絵梨佳そんなやり取りをしていると凛子がカゴにこっそり缶ビールを入れていた。
「飲みたいからに決まってる」
「金出せよ」
「いいでしょ別に、お酒くらい」
「酒はいいが俺は食材を買いに来たわけであって」
「けぇけぇ」
「分かった今回は俺の奢りだ。好きなもの買ってやる」
「切り替えエグい」
アキトの一声で俺は折れる。
「よし、じゃあ今日は飲むわ!」
俺達は買い物を楽しんだ。
****
スーパーを出て帰路についていた。アキトは俺の腕の中ですやすやと眠っている。
「寝ちゃったね」
「可愛い顔するな」
「むぅ・・・」
アキトは俺の胸に頭を擦り付ける。
「KK、最近素直になった?」
「どうしたんだいきなり?」
「だってこの子といるときのKK凄く優しい顔してたから」
「そんなことはないだろ、ただ人並みに接してるだけだ」
俺は図星をつかれて誤魔化すように言った。凛子は納得していないようだが、これ以上追及してくることはなかった。
「アジトに戻ったら作るぞ」
「なに作るの?」
「それはお楽しみだ」
「えー気になる!」
絵梨佳が俺に聞いてくるが俺は適当に受け流す。
「けぇけぇ・・・ふへへっ」
「夢の中に俺でもいるのか」
アキトは腕の中で俺の名前を呼び笑っていた。
後日
「KK、女の子拾った」
絵梨佳の腕の中には角が2本生えた赤ん坊がいた。