「暁人」
「・・・ん?」
俺の呼び掛けに反応した暁人は俺の方を向かず横になったままぼんやりと窓の外を眺める。ここのところマレビト退治に出向かずアジトに行くこともなく、ぼんやりとしたまま1日が過ぎていた。
「何かあったのか?」
「うーん、なんだろうね」
間延びした返事をして暁人は寝返りを打つ。窓の外は逢魔が時の色が広がる。
「アジトに行くか?最近麻里にも会えてないだろうし」
「・・・別にいいかな」
「やっぱり何かあるだろ」
暁人の言葉に心配になるが本人は眠たそうに俺の方を見る。
「何にもないって」
「じゃあなんだ?」
暁人はうつ伏せになるとそのまま立ち上がる。
「なんかさ」
キッチンに向かうとヤカンに水を入れてお湯を沸かし始める。
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