「暁人」
「・・・ん?」
俺の呼び掛けに反応した暁人は俺の方を向かず横になったままぼんやりと窓の外を眺める。ここのところマレビト退治に出向かずアジトに行くこともなく、ぼんやりとしたまま1日が過ぎていた。
「何かあったのか?」
「うーん、なんだろうね」
間延びした返事をして暁人は寝返りを打つ。窓の外は逢魔が時の色が広がる。
「アジトに行くか?最近麻里にも会えてないだろうし」
「・・・別にいいかな」
「やっぱり何かあるだろ」
暁人の言葉に心配になるが本人は眠たそうに俺の方を見る。
「何にもないって」
「じゃあなんだ?」
暁人はうつ伏せになるとそのまま立ち上がる。
「なんかさ」
キッチンに向かうとヤカンに水を入れてお湯を沸かし始める。
「心の炎が燃え尽きた・・・的な?」
「なんだよそれ」
「なんだろう、本当。自分で言っといてわかんないや」
笑みを浮かべる暁人だが、瞳からは空しさが見てとれた。お湯が沸くと暁人は火を止めて、ティーバッグを入れたマグカップに注ぐ。
「まあ、そう時期もあるだろ」
「そうかも」
注ぎ終えると両手でマグカップを持ってそれを飲む。その様子を見た俺は玄関に向かう。
「・・・KK、何処に行くの?」
「アジトだ」
「・・・そっか」
玄関先でやり取りをして俺は家を出た。