「なんでお前らがいるんだ?」
「邪魔してるぞ祓い屋」
「おい暁人」
「だってKKの知り合いって言ってたから」
家に帰ると暁人が祟り屋と談笑してたんだが。しかも暁人はちゃっかり菓子を貰って食べている。
「こいつらは知り合いでも何でもないぞ」
「祓い屋とは仕事上関わりはあるんだがな」
「ただの悪縁だ」
「ふーん」
暁人は菓子を食べながら話を聞いているが、お前どんだけ食べたんだ?
「暁人、それ何個目だ?」
「・・・たくさん」
「正直でよろしい」
「だってくれるって言うから」
「まさか地縛霊に養われてると思わなかったぞ祓い屋」
「いい妻を持ったな」
「新婚の品を送ろうか?」
「なんだよお前ら!!」
祟り屋が揃いに揃ってからかい始めた。今にでも追い出してやりたい気分だが、暁人が楽しそうにしているのでどうにもできない。
「まあ、そんな怒らなくてもいいだろ祓い屋」
「おい」
祓い屋が俺の肩に手を乗せた途端、暁人の皮膚が腐敗し穢れが拡がる。完全に癪に触ってしまったようだ。
「KKから手を離して、じゃないと刺すよ」
拡がった穢れが変形し、腕のようになると祟り屋を引き剥がし壁に叩きつける。
「落ち着け暁人」
「落ち着いてるよ、こいつらが僕のKKに手出したから」
「手出したって程じゃないが・・・」
暁人は俺関連になるとすぐに感情的になり、悪霊化する。この前は俺が別の女性と話しているところを見たと凛子から聞いた時にもこの姿になった。
「触れたのは手を出したのと同然だから、それにお前らみたいに一方的に揶揄してるようなのとは違って僕はKKを第一に考えているから。分かったか?またさっきのようにやったら・・・ね?」
淡々とした口調で祟り屋に語る姿は恐ろしい。
「次やったらこれ以上になるからな」
暁人が元の姿に戻るのと同時に、辺りを埋め尽くしていた穢れが引いていく。
「祓い屋、怒らせるんじゃないぞ」
「んなもん言われなくても分かってるよ」
のほほんと菓子を頬張る暁人を見てそう誓った。