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    ato_dream_

    夢小説を書いております。主にenst凪砂(その他も)

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    enst凪砂夢

    彼とポッキーゲームをするお話です🍫

    ポッキーゲームが何か知ってるの? 乱凪砂「ポッキーゲーム、してみたい」
     彼が帰宅すると、「ただいま」の後にそう続けた。そういえば今日は十一月十一日、ポッキーの日だ。
    「おかえり。凪砂くん、ポッキーゲーム知ってるの?」
    「……うん。薫くんが教えてくれた」
    「羽風くんが?」
    「薫くんがポッキーゲームというのがあるって教えてくれたから。私もやりたいって言ったんだけど、『男とやる趣味はない』って断られちゃったんだ」
     あからさまに落ち込んでいる彼を見ると、やってあげたい気持ちになる。しかし、今回に至ってはポッキーゲームだ。私はしたことがないし、彼ももちろん初めて。私はどうにか逃げ道を作るため彼に問いかけた。
    「そもそもポッキーゲームってポッキーがなくちゃできないんじゃ……?」
    「あるよ」
    「本気だね凪砂くん……」
     鞄の中から取り出したのは一箱のポッキーだった。楽しみにしていたと言わんばかりに、ニコニコと微笑みながらポッキーを持つ彼はまるで子供のようだった。
    「……ふふ、私は君がしようとすることを理解しているつもりだよ。逃げ道はあらかじめ塞いでおくんだ」
     彼の得意げな表情に、私の魂胆は明け透けだったことがわかる。彼が世俗的なイベントに興味を示すことは心の底から嬉しいけど、ポッキーゲームって、最後はどうなるかわかっているのかな。


    「じゃあ、始めようか」
     彼にそう言って差し出されたポッキーを咥えて待っていると、彼も反対側を咥えた。思っていたよりも距離が近くて恥ずかしい。目がパチリと合えば、直視できずに思わず目を逸らしてしまう。
     彼はそんな私に構わずポッキーを食べ始めた。しばらくしてゆっくりと彼の瞳を見ようとすると、彼の顔が先ほどよりも近くにあった。
     すぐそこに彼の唇がある。キスが来る。そう思った私は思わず目を瞑った。その時、ポッキーが折れて、唇が触れることはなかった。
     キスはしなかったが、彼の綺麗な顔が近くまで来たというだけで私の心臓は騒がしく鳴っていた。
    「……残念。折れちゃったね。それじゃあ、もう一本」
    「へ?」
     一回だけだと思っていた私は我ながら間抜けな声を出す。ポッキーの束を差し出され、私はおずおずと一本だけ手に取った。彼の目線を受けながら、もう一度ポッキーを咥える。彼にじっと穴が空くほどに見られながらポッキーを咥えるだけで恥ずかしくなりそうだ。
     覚悟を決めた私は彼の瞳を見つめ返した。
     すると、咥えていたポッキーはあっさりと取られてしまい、彼の唇がちゅっと触れた。一瞬の出来事で頭が追いつかない私は、ただただ驚くことしかできない。
    「……ポッキーゲームにはこういうのもあるって聞いたんだ」
     今の状況を把握するのにそう時間はかからなかった。目を見開き彼の顔を見上げると楽しそうに笑っている。彼の表情で何が起こっているのか理解した私は声にならない悲鳴をあげては急激に顔が熱くなった。
     自分でもわかるほど真っ赤になっている顔を見られないように抱きつくと「可愛いね」なんて言われて何も言えなくなる。いつも恋愛に関して何でも尋ねてくる彼が、誰かに聞いたことを私に実践して、しかもそれが様になっているのが本当にズルい。
     いつの間にこんなことを覚えてくるのか、たまに彼が恨めしくなる。
    「な、凪砂くん」
    「ん?」
    「……ポッキーゲーム。私以外の人としないでね」
    「ふふ、君以外とはしたくないよ」
     彼のことを理解しているから、私が予想しないような行動を取るのも、私を喜ばせたい一心で、ただ愛しいという気持ちのためだということを知っている。そういうところが尚更ずるくもあるが、愛されていることがわかるので嬉しい。こんな複雑なのに幸せな気持ちは彼からしか感じられないのだろう。

     胸の奥底から溢れ出る温かい気持ちを知らせるように彼に擦り寄った。
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