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    ato_dream_

    夢小説を書いております。主にenst凪砂(その他も)

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    enst凪砂夢

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    彼と過ごす初雪 乱凪砂 皆が寝静まっていて誰もいない時間、仕事で遅くなった私たちは長い公園の道を歩いていた。白い息が凍えるような寒さで、手先が冷えることを感じた。辺りが暗かったため、公園の電灯だけが私たち二人を照らしていた。彼は今日の出来事をぽつぽつと話していて、私はそれに耳を傾けていた。
     楽しそうに話している彼の顔をふと見上げると、白い息を吐きながら瞼を伏せめがちに微笑む彼の表情が綺麗でドキドキと心臓の音がうるさかった。バレないように横目で彼の横顔を盗み見ていると、彼が突然私の名前を呼んで立ち止まった。そして、私よりも大きくて逞しい彼の手が私の手を捉えた。
    「……どうかした?」
     私の瞳を捉えて離さない彼の真剣な眼差しにクラクラする。彼に「横顔が綺麗だったから」と伝えたいのに恥ずかしさが勝ってしまい何も言えなくなった。
    「……あ」
     この沈黙を破ったのは彼だった。
    「……え?」
    「初雪だね」
     彼が視線を上に向けると、私もそれを追って空を見上げた。静かに降り頻る雪を眺めてはくすぐったい気持ちになった。初めての雪。いつもは同じ時間を過ごしていながら初めて降る雪を一緒に眺めたことがないため、新鮮な気持ちだ。
    「そうだ。雪だるま、作ってみたいな。昔は日和くんと一緒に作ったことがあるけど、次の日には溶けてしまったんだ」
     目をキラキラと輝かせて過去に想いを馳せている彼が先程とは違う表情で、いつもの彼が垣間見えた。
    「ふふ、この雪の量じゃまだ作れないよ」
    「……そう」
     一人で見る雪は真新しい気持ちにはなれど肌寒い気温とともに心も冷たくなることを感じて苦手だった。でも、今は彼と一緒に雪を静かに眺めているから彼がいるからか、浮ついた気持ちになっている。
     手を広げると静かに掌に落ちる雪はすぐに溶ける。こんなに冷たい雪に触れても感傷的な気分にならないのは、彼といる時の体温がいつもより高かったからかもしれない。
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