手紙一日のトレーニングが終わり、汗を流した後カイザーは潔の姿を探していた。
潔がドイツに来てからまだ日が浅い。週に3日ほどは正式なドイツ語の教師のもとで授業を受け、残りは自習をするスタイルで潔はドイツ語の学習をしている。
潔は勉強が苦手らしく、自宅で辞書を片手にテキストを開いていても長続きしないと言う理由で、オープンなミーティングルームやカフェなど、ある程度人の気配がある場所の隅で時間が許す限りテキストを開いていることが多かった。飛び交うドイツ語もまたヒアリングの一環になっているのかもしれない。
そんな潔の学習状況をウォッチングしにいくのが、カイザーにとって最近の楽しみにもなっている。
ドイツ語で話しかけて潔がちゃんと答えられるのかとか、ノートへの書き取り内容に誤りはないかなど、チェックするわけだ。
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