答えはとうに知っていた まるで人形のようだと思う。なまじ端正であるがゆえ、感情の起伏に乏しい顔はよけいに無機物めいて見えるのだ。凪いだ海の色を宿す瞳はどこまでも底知れず、覗き込んだこちらの方が見透かされている想像にかられる。人のかたちをとりながら、人ならざるものの気配がする。
短く刈り揃えられた芝生が、ちくちくと靴裏を苛んだ。ヒューベルトはどうもこの"先生"とやらが苦手だった。
「ヒューベルト、どうして君はそんなに自信がないのかな」
ヒューベルトはにわかに眉を寄せた。
白鷺杯にむけての練習だと庭に呼び出され、仕方なく一通り踊って見せた第一声がこれである。だったら悪ふざけなどせずに―――悪ふざけ以外に真っ当な理由があれば是非教示を願いたいと思うのだが―――初めから適任者を抜擢するべきだろう。
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