邂逅「えー、や……えー…?」
夜燕は困った。
しがないサラリーマンの青座夜燕は早く横になりたかった。夜燕は今日も今日とて忙しくし、働き尽くしてきた。ああ早く寝たい。
もうコンビニぐらいしか開いていない時間だったが、それもいつものことだった。
だが夜燕はあと一歩のところで帰宅が叶わない。
ドアの前に人が落ちてるせいだ。三度と外壁に取り付けられた部屋番号を見上げても、やはりそこは青座宅である。
家の前にもたれこんでいたのは、ぱっと見でもガタイのいいとにかくデカい男だった。そんな野郎の肩が丁度ドアを遮ってるせいで、無理矢理開けるわけにもいかない状況だった。
男をよく観察すればまだこの時期には暑そうなジャケットはボロっぽく汚いし、フードを深く被り俯いてるため顔は見えなかった。酔っ払いか浮浪者か。夜燕はうんざりしてため息を吐いた。
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