試し書き「えっ、私が長野に⁉︎」
突然の話に思わず目をパチパチと瞬かせた私に対して、蘭さんは申し訳なさそうに呟く。
「お父さんとコナン君だけじゃ心配で……」
彼女の父親は探偵事務所をやっており、最近は殺人事件までも解決してしまう名探偵として名を馳せている。
しかし今回、私が探偵事務所を訪れたのは依頼があったわけではなく単なる偶然だった。
普段は「何でも屋」として様々な仕事の手伝いをしており、今週はケガで入院してしまった喫茶ポアロの店長から頼まれ、一従業員として働いている。
喫茶ポアロは毛利探偵事務所があるビルの一階で経営しているため、テナント主であり、常連客である毛利探偵に時折差し入れをしているらしい。
はっきり言ってしまえば、消費期限が近い食材の有効活用であると、従業員の榎本さんは言っていた。
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