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    めてぃ

    結界師正良の妄想をほぼ壁打ちでただ垂れ流すだけのアカウント。
    あとは自作正良ぬいで色々と写真取ってます。
    メモとあるのはほぼ小説かほんとにメモだけです。
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    めてぃ

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    いい兄さんの日。
    チビ正良&利。

    最近また弟ができた。
    俺と同じく方印は持っていなかった。

    母さんは利守が生まれてしばらくすると、以前のように仕事でしばらく家を空けることがまた多くなってきた。なので父さんが忙しい時は俺が手伝う。
    良守の時は、兄になるってよくわからなかったけどもう5年も経った。おかげでたいていのことは手伝えるようになった。
    良守も5歳になると、だんだん反抗期になってきたのかたまに兄貴と呼ぶようになったし、俺よりも時音ちゃんや近所の友達と遊ぶことのほうが多くなってきた。あんなに面倒を見てやったのに可愛くない。
    最近修行を始めたというのもあるのかもしれない。おじいさんに、正統継承者とはなにかというのもを教えられているらしい。その際に、どうしても俺を引き合いに出さざるをえない。だからか俺をすごく意識するようになってきて以前のようにべったりということもなくなった。
    一方で下の弟利守は、まだ生まれたばかりで可愛い。良守の小さいころを思い出す。
    だから良守に構っていた時間をつい利守と過ごしてしまう。
    泣いていればなんで泣いているのかなんとなくわかるし、様子を見ながら一緒に昼寝をしてしまうこともあった。さすが兄貴歴5年。もしかしたら母さんよりもわかっているかもしれないなんて思う。
    今日も夕飯の準備をする父さんに変わって、利守にミルクを飲ませる。飲ませ方だって、飲んだあとのゲップだってお手の物だ。昔は、良守にやりたくしょうがなくて父さんにコツを教えてもらったのだ。
    茶の間で抱っこしながら飲ませていると、入り口に良守が立ってこちらをじっと見ていた。
    「良守どうした?」
    「べつに」
    「良守も利守にミルクあげてみる?」
    「僕はいい」
    そういうとふいっと顔をそらして部屋を出て行ってしまった。なんだったんだろうか?
    その後、利守を父さんにまかせて茶の間で宿題をしていると、また良守がやってきた。そのまま観察していると、何も言わずに近寄ってきて人の膝の上に座りお絵描き帳を広げ黙々とお絵描きを始める。
    「良守、兄ちゃん宿題やってるんだけど?」
    「うん」
    返事はするものの一向に退く気配はない。少し前まではこうやってよく一緒に宿題をしていたが、ここしばらくはなくなった光景だ。
    「どいてくれないと兄ちゃん宿題できないんだけどな」
    「うん」
    やはり降りる気配がないので、抱きかかえて強制的に横におろそうとすると「いやぁぁ」とテーブルに掴んで必死の抵抗にあう。
    「良守!」
    大きな声でいなすと、グズグズと泣き始めた。
    「やだもん…ここ僕のだもん…」
    わけがわからないことを言い始める。
    引きはがそうとしても頑として動こうとしないので、こちらが横にすり抜けて良守の隣にずれる。
    するとそれがショックだったのか、驚いた目でこちらを見上げてくる。最近いつもツンケンとして構ってくるなという雰囲気を醸し出していたのに、珍しく俺に構ってほしいような顔をする。どうしたもんか。
    宿題をする気もなくなったので、ノートをまとめると自分の部屋に向かう。すると、良守も慌ててついてくる。
    トイレに向かうとやはりついてきて外で待っている。寝ころんで本を読んでいると、ぴったりと横にくっついて脇の下からもぐりこんで顔をだしてくる。なんだか今日はひっつき虫のようだ。何をするにも後をついてくるし、離れようとしない。本人は何も言わないのに一生懸命なのだ。なんだか面白くなってきた。
    いったん部屋を出てから用もなくぐるっと廊下を歩き再び部屋に入るとピシャっと襖を閉めた。案の定、後ろをついてきた良守は開けて入ってこようとするが中から開けられないように押さえる。幼児の力なんてたかが知れているので開けることは当然できない。
    しばらく格闘していたようだが静かになったので諦めたのかと思いそっと襖を開けると、その場で目に涙をいっぱり溜めて泣くのを堪えていた。が、目が合った瞬間、こらえ切れなくなって大粒の涙が溢れ出す。
    「にい、ちゃぁぁん」
    大泣きしながら足にしがみついてきた。そのまましばらく泣き続けるので仕方なく抱き上げる。
    「良守、今日はどうしたんだよ?」
    「だって、にいちゃんはよしもりのなのに…」
    そう言いながらぎゅっと抱き着いてくる。
    「ん?兄ちゃんは良守の兄ちゃんだよ?」
    「利守のこと抱っこしてたもん」
    「だって、利守だって弟だよ?ミルクあげるのに抱っこしないとできないだろ。それに、良守だってお兄ちゃんになったんだろ?」
    「僕、お兄ちゃんじゃないもん。弟なんていらないもん」
    やはり。最近は、良守ではなく利守のことばかり構っていたから、先ほどのを見て兄ちゃんを取られたのだと思ったんだろう。自分から離れていったくせにわがままなやつだ。それでも、このところそっけなかった良守が自分のことを好きでいてくれたのは嬉しい。
    「良守は最近兄ちゃんとあそんでくれなくなったじゃないか」
    「そんなことないもん。よしもりは兄ちゃん大好きだもん」
    そういうと首にしがみつきぎゅっと抱き着く。
    「兄ちゃんは、良守も大好きだし、利守も大好きだよ。だから良守も利守のこといらないとか言わないで?」
    「だって…」
    「良守が利守のこといらないっていうなら、兄ちゃんも良守のこといらないな」
    「それはいや!!」
    「じゃあ、約束できるな」
    「う、うん…」
    渋々返事をする。今まで2人兄弟だったのがいきなり弟ができたと言われても理解はしづらいよなと思う。自分だって、理由は違えど複雑な心境を乗り越えてここまで来たことを思い出した。次男が方印を持っていたとしても3兄弟には変わりはない。良守にもしっかりとお兄ちゃんになってもらうには自分が兄ちゃん業も教えてやらねばなるまい。
    「そうだ!今日は兄ちゃんと風呂入るか?」
    「うん!」
    方印のせいで最近少しぎこちなくなっていた兄弟だったが、今日は甘やかしてやろう。そしてこれからももっと良守に構ってやろうと誓った。

    ※構ってやろうは、自分から離れていったことも根に持っていて、とことん構い倒して泣くくらいするのが正守の平常運転だと思います。
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